三菱商事,三井物産,赤字
(写真=PIXTA)

総合商社に再び「冬の時代」が訪れている。三井物産に続き、三菱商事も大幅下方修正を発表した。いずれも現体制が整って以降、60年余りの歴史で初の赤字転落となる。

赤字転落は中国の影響 稼ぎ方の模索は続く

三井物産の連結最終損益は従来予想の1900億円の黒字から、700億円の赤字(前期は3064億円の黒字)に転落する。資源エネルギー関連で約2600億円の減損を計上したが、これは資産価値を大きく引き下げたことが響いた。一方、三菱商事は連結最終損益が従来黒字予想から一転して1500億円の赤字(前期は4005億円の黒字)になると発表した。

どちらもチリの銅事業の減損が大きく響き、次いで豪州のLNG事業の減損が影響した。両国とも中国経済減速の影響を大きく受けた形だ。

総合商社は70~80年代、モノの転売で収益を稼いでいた。しかしそのビジネスモデルも限界に達し、当時は「商社冬の時代」と評された。80年代後半のバブル全盛期には、金融商品への「財テク」に没頭、バブル崩壊で大幅損失を被り、その後の財務体質修復に長い時間を要した。

その後大きな利益を稼ぎ出すようになったのは、モノ・サービスの売買でなく、事業に出資して収益を確保するビジネスモデルに転換してきたからだ。当初は、通信・放送衛星ビジネスや電力事業などに参入したが、成功とはいえないケースも多かった。

次に目をつけたのが資源ビジネスだ。当時は資源輸入大国の中国が絶好調、資源価格はリーマンショックの下落から持ち直して値上がりが続いた。資源ビジネスに大きく傾斜した三菱商事と三井物産は総合商社ならぬ「資源商社」と揶揄されながらも過去最高利益を出していった。

伊藤忠「一人勝ち」に見える理由

15年3月期に原油などエネルギー関連で大幅な損失を計上、続く16年3月期は銅の市況下落と今まで好調であった分野が続々と失速している。銅は自動車や電力、鉄道などの基幹産業で大量に使われるため、世界経済のバロメーターとされているが、景気減速により価格はM&Aが盛んだった11年のピークから見ると直近では約半値に落ち込んでいる。

今回、帳簿上の損失であるため、各社の屋台骨が揺らぐわけではなく、来17年3月期は業績もV字回復となるだろうが、これもペーパー上の回復だ。このところの中国や米国の景気動向をみると、エネルギー・資源価格が大きく回復するとは考えにくく、総合商社の関連事業の収益は当面低迷しそうだ。

資源に注力した総合商社が赤字に苦心する中、「非資源ナンバーワン商社」を掲げる伊藤忠商事は、16年3月期の純利益予想が3480億円で総合商社中トップに躍進する見通しだ。住生活情報や機械などの非資源事業が着実に利益を稼ぎ出している。

こうした状況を受けて、三菱商事は「聖域を設けずに、資源ポートフォリオを見直す」方針、三井物産もメディカル・ヘルスケアや食料と化学品融合分野など非資源分野の成長を急ぐ方針を示している。

新しいビジネスが収益源となるには時間がかかる上、資源関連事業は大規模リストラや撤退などの重要な意志決定を下せる立場になく、すぐに手を引くことは難しい。「資源商社」の実業の利益動向は、三菱商事が「ここが辛抱のしどころ」というように、今後の資源価格頼みという構図はしばらく変わりそうもない。(ZUU online編集部)

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