転職,面接,キャリア
(写真=PIXTA)

リーマンショック後、転職市場は冷え込みましたが、じわじわと上昇し続けています。いくつかの企業で新入社員研修をしましたが、どこも、新入社員の人数は増え、中にはバブル期と同数にまで伸びた企業もありました。

では転職市場はどうでしょうか。年代別に見てみましょう。

第二新卒は増える

2016年3月卒業者(現在の新入社員)の求人倍率は1.73倍と前年の1.61倍、前々年の1.28倍より上昇しました。求人に対し、就職を希望する人が大幅に少ない状況です。新卒採用で、希望数に達しない企業が増えています。新卒での不足分を第二新卒や中途採用で埋めようとします。

第二新卒の採用基準は2つに分かれ、(1)ある程度のビジネスマナーや仕事の進め方がわかっていると期待する企業と、(2)純粋に、新卒の穴埋めで良い。新卒同様に育てようという企業があります。

リーダークラスのニーズは底堅い

また20代後半から35歳前後のリーダークラスは、景気に影響なく、ニーズは変わらずあります。このクラスを充実させられれば、新人の育成も、ベテランからのノウハウ継承などもうまくいくからです。

またコンピテンシーの観点では、「スキルや知識は、35歳以降でも身に着けられるが、コンピテンシー(特性)は、35歳以降は変わらないし、開発できない」と言われています。35歳以下ならば、会社が求める特性を育てるという発想ができるので、採用しやすいのです。

リーマンショック以降、採用控えをしていた企業では、この層が薄いため、世代バランスを取るために、求めるケースも多いです。

35〜40歳代も求人数は伸びている

1975年から80年ごろに生まれた、いまアラフォーとよばれる世代が新卒で就活していたころは就職氷河期でした。どの企業も採用を控えていたため、多くの企業で層が薄いといえます。

ハイパフォーマーをターゲットにした、スカウト型転職エージェントをしていたキャリアコンサルタントの田原卓哉さんによると、「35歳から40代は、企業側の採用意欲は年々高まっています。人事・経理・総務・法務・IRなどあらゆる部門でスペシャリストを欲しがっています。しかし、マッチングが難しい」とのこと。

「大企業に勤めるハイパフォーマーは、現状に満足しているので、なかなか転職市場に出てきません。ハイパフォーマーが転職したいと思い、たとえばエンジャパンの「スカウトサービス」に登録すると、複数の転職エージェントが同時にアプローチをかけ、取り合いになる状況です。

しかし、こちらが『ぴったりだ』と思って推薦しても、書類選考ではじかれることも多いのが現状。企業側は厳選して慎重に採用をしているので、なかなか採用に結びつきません」と田原さん。

採用に結びつかない原因には、いくつかの理由がありそうです。

まずは応募者側の転職へのスタンスです。田原さんはメールの返信に年代別の特徴が出ると言います。一番レスポンスがいいのは、50代で、日中にメールをしたら、夕方にはアポが決まるそうです。

「数年待てば退職金が入ってくるのに、それをけってまでチャレンジしようとする人たちなので、能力・専門技術・行動力・意欲がすごいです」

次に早いのは20代。翌日の朝には返信が確認できるようですが、「35歳〜40代は、自分から転職したいと言ってきているのに、返信がなく、電話しなければつながりません」と田原さん。

転職エージェントを味方につけるかどうかで、求人情報の数も質も大きく変わります。しかし、メールに返信もしないとなると、本気で応援してもらうのは難しそうです。そのスタンスは、職務経歴書や面接にもあわられますので、不採用の一因にもなってしまいます。

田原さんは「ただ市場価値を知りたいだけで転職活動をはじめてしまう人も多いです。大手企業に勤めていて年収が高い人ほど、『もっともらえるのではないか』と錯覚しています」と。

もう一つは以前にも紹介した家族の反対です。

田原さんは「中小企業だと社長とお会いして会社の方針や社長の考え・性格を知って、あう人を紹介します。これから上場を目指す超優良企業で、給与交渉をして希望年収を確保しても、『家内を説得できなかった』と反故(ほご)になるケースが多いのです」と言います。

こちらの記事も参考に、家族に反対されないように転職活動を進めましょう。

【参考記事】
転職活動のことはいつ家族に話すべきか? 反対されたらすべき4つのこと

仕事の責任も大きく、量もこなしている35〜40歳代、転職市場は活況ですが、転職エージェントや家族を味方につけることが、成功の大きなポイントになりそうです。

梅田幸子(天職コンサルタント/採用育成コンサルタント)

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