電気自動車
(写真=Thinkstock/Getty Images)

次世代の自動車技術の一つとして注目されている電気自動車(EV)。日本の中核産業ともいえる自動車産業の新たな競争の時代になるだけでなく、二酸化炭素排出量の削減という環境問題の側面からも注目される。

他方で、一口にEVといってもまだまだ、一般にはわかりにくい。そこで、技術に馴染みのない初心者にとってもわかりやすいように、今回は電気自動車について解説する。

そもそも「電気自動車(EV)」とは?

電気自動車(EV:Electric Vehicle)は、電気モーターを動力源とする自動車であり、大きく分けて2種類ある。車載電池から電力を得る電池式電気自動車と、走行中に電力を外部から供給する架線式電気自動車で、最近注目されているのは「リチウムイオン電池」などを用いる前者のタイプと言っていいだろう。

その代表例としては、外部からの電力供給を受けて蓄電池に充電した上で、電動機に供給する2次電池車のほか、車両自身太陽電池を備えたソーラーカーなどがある。水素と酸素を反応させて発電することで電気を得る燃料電池を搭載する燃料電池自動車(FCV)もEVの一つで、トヨタ自動車 <7203> のFCV・ミライが代表例だ。

ほかにも、電気の通っている架線に接触させて電源を得るトロリーバスや、架線を地下に埋設し、誘導電流によって走行中に充電できるオンライン電気自動車も、いわゆる「電気自動車」だと言っていいだろう。

リチウム電池など2次電池のEV

昨今のEVとして注目を集めているのは、リチウムイオン電池をエネルギー源とする2次電池車だ。市場の成長も牽引しており、EVといえばほとんどの場合にはリチウムイオン電池を活用したEVを指していると言えそうだ。

2次電池車の利点も見ておこう。その一つがエネルギー費用の安さだ。EVを走らせるには、一般家庭の100V/200V電源でも充電が可能であり、安価な深夜の余剰電力を利用して自宅で充電すれば、エネルギー費用を抑制できるのだ。また、電子制御で高性能のトラクションコントロールとABS(アンチロック・ブレーキ・システム)を容易に実現することができ、ガソリン車などと比較して、エネルギー効率が高い。そうしたエネルギーの経済性や効率性の高さが特長だ。

ただし、2次電池車は、充電に時間がかかり、充電容量も限られるほか、ヒーターにガソリン車などのように廃熱を使えない分、暖房時の航続距離が短くなる。また、騒音が少ない分、歩行者に気づかれにくく、そのままでは事故リスクが比較的高い。対策としては、低速走行時に人工的に音を出すなどの工夫を施さなければならない。

ちあみに、2次電池式電気自動車の利点を活かしながら、航続距離の欠点をガソリンエンジンなどの内燃機関で補ったものが、プラグインハイブリッドカー(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)であり、一般的にはEVへの理解としては十分だろう。以下では、EVをさらに深く理解するために、FCVについてより詳しく見ておこう。

トヨタのミライなど燃料電池車(FCV)もEV

すでに説明した通り、燃料電池車(FCV)もEVの1種だ。FCVは、水素と酸素の化学反応によって発電し、その電気エネルギーを使い、モーターを回して走る自動車だと言える。

FCVの利点としては、有害な排出ガスがゼロまたは少ないこと、エネルギー効率が高いこと、化石燃料を使わなくて済ませられること、騒音が少ないこと、短時間の燃料充填が可能なことなどが挙げられる。

FCVにも、実はいくつかの種類がある。一つ目が水素ステーションから直接水素を補給する「直接水素形」で、水素以外の燃料を補給して車載改質器で水素を製造する「車上改質形」が2つ目だ。が、一般的には「そういう種類があるんだな」と理解しておけば問題ないだろう。

ちなみに、FCVの実現にあたって課題になるのが、水素の貯蔵方法だ。現在では、水素の貯蔵・車載方法としては、水素を高圧に圧縮して専用の高圧タンクに貯蔵・車載する「高圧水素タンク」、水素を特殊な合金に吸蔵して貯蔵・車載し、加温により水素を取り出す「水素吸蔵合金」、水素を極低温(-253℃)にして、専用の遮熱タンクに貯蔵・車載する「液体水素タンク」があり、最適な水素の管理方法を模索している。

さらに、FCVでは、水素ステーションを利用する「直接水素形」が一般的だ。経済産業省は、2014年6月に「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を公表し、水素ステーションの設置・拡充に向けた取組を始めたところだ。

EV普及にはインフラの整備が重要

ガソリン車と比較して、さまざまな利点を持つEVだが、その普及の鍵を握るのが、充電設備に代表されるインフラの整備だ。EVの充電インフラは、電力網の末端である家庭用電源を利用する家庭用充電設備と、不特定多数の利用を前提とする公共用充電設備の2種類に分けられる。

経済産業省は、「自動車産業戦略2010」で、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV/PHEV)に重点を置いた「電池戦略」「資源戦略」「インフラ整備戦略」「システム戦略」「国際標準化戦略」を策定した。さらに「自動車産業戦略2014」では、2030年の乗用車車種別普及目標について、電気自動車およびプラグインハイブリッド自動車を15~20%、燃料電池車を~3%と設定した。

2014年5月、トヨタ自動車、日産自動車 <7201> 、ホンダ <7267> 、三菱自動車 <7211> の自動車4社は共同で、EV/PHV向けの充電インフラ会社「日本充電サービス(NCS)」を設立した。その後、NCSは、2014年6月に日本政策投資銀行、2015年2月に東京電力 <9501> と中部電力 <9502>の出資を受けている。

NCSは、自動車メーカー4社のEV/PHVユーザー向けに、会員認証を行うICカード(充電カード)を発行している。充電カードを持つユーザーは、NCSのインフラであればどこでも充電可能な仕組みになっている。思うように進まない充電インフラの整備・拡充にどうつなげるかが、今後の課題だ。

EVの有望市場である米国や中国が猛追する中、日本の充電インフラ整備が進むのか。世界が注目している。(ZUU online 編集部)

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