金融界を舞台にした映画は多い。特に、リーマンショックは史上最大の経営破綻から歴史に残る金融危機に発展したことで、多くの映画のテーマになっている。現在公開中の『マネーショート』も、リーマンショックを描いた映画だ。

その他にも、歴史的な金融の事件にフォーカスした数々の映画やドキュメンタリーが生まれている。映画を見ることで、金融の歴史を追体験してみてはいかがだろう。過去の金融危機を知ることで、投資の経験値アップにもつながることは間違いない。

1.『マネーショート 華麗なる大逆転』

リーマンショックで巨額の利益を叩き出したトレーダーにフォーカスして描いたノンフィックション。2015年に米国で公開。日本では2016年3月公開された。

サブプライムローンを破綻させてしまいかねない重要な問題に気付いた4人のアウトローのトレーダーが、世界経済の破綻を予測し、好景気に沸くウォール街の大手金融機関を相手に空売りの大勝負を仕掛ける。スリリングな展開はトレーダーに憧れる人にはぴったりだろう。

原作は、マイケル・ルイス著の『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』。名門投資銀行だったソロモンブラザーズの内幕を描いた『ライアーズ・ポーカー』、大リーグの貧乏球団が強くなるストーリーを描いた『マネーボール』などを書いた作者の作品だけに面白くないわけがない。

2.『マージン・コール』

本作品もリーマンショックを題材にした映画だ。2011年に米国公開。マネーショートが空売りを仕掛けるトレーダーに焦点を当てていたのに対し、空売りを仕掛けられた銀行にフォーカスした作品だ。

リーマン・ブラザーズをモデルとしたと思われる大手投資銀行が、破綻する日の運命の24時間に焦点をあてている。刻々と揺れ動く危機の状況は鬼気迫るものがあり、投資銀行の幹部達は自己保身に走る。危機に際した人間性の対比がとても面白い。フィクションなので実際のリーマンとは違った結論が待っている。

3.『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実 』

2011年に行われた第83回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー部門賞を受賞した米国の作品。リーマンショック前後の世界金融危機の実態を、有名金融機関の関係者や政治家へのインタビューを中心としたドキュメンタリーとして金融危機の実態に迫っている。ソロスやポールソンといったリーマンショックで稼いだといわれるヘッジファンド界の大物も登場する。

インサイド・ジョブとは、「内部犯行」のことだ。リーマンショックが引き金となった世界金融危機は、その内部にいた人たちが作り出した犯罪であるという厳しいメッセージだろう。

4.『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』

GMのリストラなどを取り上げた社会派のマイケル・ムーア監督がリーマンショックに迫った2009年のドキュメンタリー映画だ。アメリカ銃社会を批判的に洞察した『ボウリング・フォー・コロンバイン』や、同国の医療の歪みを描き出した『シッコ』の監督としても知られるムーア氏の映画としても注目だろう。

ムーア監督は、行き過ぎた資本主義、1%の富裕層が底辺の95%より多い富を持ち独占的に利益を得るといった社会に警告を発している。リーマンショックの原因となったサブプライムローンなどの複雑な金融商品、その複雑な商品を売りまくった会社、リーマン破綻で国税金7千億ドルを不良債権の買い取りのために投入した資金の行方などを徹底的に自ら追いかけた。

5.『ウォール・ストリート』

大ヒットした『ウォール街』の続編。2010年の米国映画。マイケル・ダグラスの扮するゲッコーの1987年『ウォール街』後の話だ。

映画の設定も現代風にバージョンアップ。ゲッコーが復讐のために組むのは、ウォール街の時は歩合のセールスマンだったが、ウォール・ストリートでは電子取引のトレーダーだ。そして立ち向かうのは、インサイダー取引でなく金融危機になっている。リーマンショックの影響がここにもでている。

6.『ウォール街』

1980年代の世界的な株式のブーム時の教科書的な映画だ。1987年の米国映画。

米国でもこの映画を見て投資銀行を目指す若者が増えたという。日本でも主人公でマイケル・ダグラスの扮する投資家ゴードン・ゲッコーに憧れて、ダークスーツに黄色のネクタイが大流行した。

若い証券マンがゴードンと出会い、インサイダー取引、M&Aなどを通じて成り上がりウォール街で成功する。ただ二人の気持ちはすこしずつずれ始め…といったストーリーだ。

7.『キング・オブ・マンハッタン 危険な賭』

2012年の米国のサスペンス映画。ヘッジファンドの成功者の暮らしぶりがよくわかる映画だ。

リチャード・ギア扮するロバート・ミラーはニューヨークのヘッジファンドの大物だ。米国では、ヘッジファンドで成功すると一代で莫大な富と名声を築くことができる。ミラーは、豊かな生活と家族に囲まれ幸せそうに見えるのだが、裏では、投資に失敗、ドライブ中の事故で愛人を殺してしまうなどの大きなトラブルを抱えている。すこしずつ歯車のずれはじめたミラーの行く手にはどのような結論が待っているのか?

2008年にヘッジファンドのオーナーで大富豪のバーナード・マドフが投資家から集めた資金を運用せず配当に回していたことが発覚、被害総額は5兆円にものぼり、史上最大の詐欺犯として逮捕された。こういった事件にインスパイアされての映画だったのだろう。

8.『マネートレーダー/銀行崩壊 』

日経平均先物の架空取引で英国の名門投資銀行ベアリングスを倒産させたニック・リーソンの獄中手記をもとにした映画だ。1998年英国の映画。

1995年、日経平均先物などのデリバティブ取引で約1380億円の巨額の損失を計上し、女王陛下の投資銀行とまで言われたイギリスの名門ベアリングズ銀行が破綻した。リーソンは、ベアリングズ・シンガポールの先物取引部門責任者。日経平均先物のビッグ・プレイヤーとして日本市場を動かす有名なトレーダーでもあった。

だが、部下の失敗などを隠蔽するために作った架空口座で、損失をカバーするための商いを会社に秘密で膨らませており、阪神淡路大震災の大暴落で巨額の損失が表面化してしまった。リーソンのデリバティブ商いで過ちを拡げていく実態を描いたノンフィクション映画だ。

9.『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

ブラックマンデーという1987年に起きた史上最大の株の暴落で仕事を失った新人証券マンがクズ株のセールスから成り上がっていくストーリー。2013年米国映画。

単なるサクセスストーリーではない。レオナルド・ディカプリオ扮するジョーダン・ベルフォード、通称ウルフは、ドラッグの常習犯でもあった。その成功ストーリーとドラッグに染まったハチャメチャな人生は、本人の回想録『ウォール街狂乱日記 - 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』を元にしている。

儲かっているときのウルフの証券会社のトレーディング・フロアは、まさにバブル期の雰囲気を良く表している。

10.『金融腐蝕列島 呪縛』

日本のバブル崩壊後の金融業界の内幕を描いた日本の金融映画の代表作。1999年公開。高杉良の一連の経済小説の中からの一作だ。

1997年、大手都銀の朝日中央銀行の総会屋絡みの不正融資発覚から起きる銀行の危機、上層部の責任回避、内部崩壊、そして再建への一連の物語だ。

モデルはみずほ銀行の前身である旧・第一勧業銀行の総会屋利益供与事件だと言われている。題名の『呪縛』は、当時、同行の頭取が記者会見で「呪縛が解けなかった」と述べたことに由来している。

1997年は、北海道拓殖銀行が都市銀行として初めて破綻し、山一證券が自主廃業に追い込まれ、三洋証券も倒産するという日本史上未曾有の金融危機だった。

11.『ハゲタカ』

1997年の日本の金融危機の後、破綻した金融機関や日本企業を外資のファンドが買収して再建するパターンが増加した。その外資の事を「ハゲタカ」と言った。真山仁の小説「ハゲタカ」をベースにした2007年のNHKの連続ドラマが話題となり、2009年に劇場版として公開されたのがこの映画。

ドラマから数年が経過した日本を舞台に、日本の基幹産業・大手自動車メーカーに買収を仕掛ける中国系ファンドと天才ファンドマネージャーが繰り広げる激しいマネー戦争を描いている。制作中にリーマンショックが起きたので、原作とストーリーを変えたようだ。

12.『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』

正確に言うと金融映画ではないが、1980年台のバブルを知る上で貴重な映画。2006年公開。バブルを知る金融関係者に大ヒットした金融マン必見の映画だった。

バブルを知らないヒロイン広末涼子がタイムマシンに乗って1990年に戻り、バブル崩壊を食い止めるために奔走するタイムスリップ・コメディだ。バブル期の風俗文化を完全再現した映像が笑える。

平田和生
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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