(写真=PIXTA)
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睡眠時の「質」をデジタル化する流れが注目を集めている。身体の情報を取得して、健康管理や維持に役立てようとする「ウェアラブル端末(身につけて持ち歩くことができる情報端末)」と呼ばれる機器が相次いで登場しているのだ。

米国で開催される、ITの未来を占うショーケースといわれることもある1大イベント「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」において、2016年のInteractive Innovation Awardのウェアラブル部門を受賞したのは「Quell」という身体の痛みを緩和するデバイスだ。微細な電気信号を体内に発信することで脳に働きかけ、痛みをやわらげる物質の放出を促すという。コンテスト「ReleaseIt」では、優勝した睡眠用アイマスク「NEUROON」が話題となった。睡眠中の心拍数や眠りの深さ、浅さのデータがアプリを通じて可視化されて、より最適な仮眠のアドバイスを受けることができるというもの。同機器が備える、光照射によりメラトニン値を調整することで時差ぼけ予防が期待できるとする機能は革新的だ。最先端ウェアラブル機器の世界では、利用者の身体に積極的にアプローチするタイプが増えつつあるようだ。

睡眠の質が向上する「ツーブリーズ」

イスラエルの会社が持つ医療用機器の技術を応用して作られたという「ツーブリーズ」は、帝人グループのねむログから世界に先駆けて先行発売されている。同機器は、睡眠に入る時に、寝つきやすいように呼吸パターンを整えてくれるデバイスだ。腹部にセンサーを付けると、呼吸のパターンを読み取ってアプリに転送する。アプリは、その呼吸パターンに合わせてトーン(音)を自動生成する。耳で聞いているうちに、アプリが奏でる音楽と自分の呼吸パターンが合っていき、スムーズな眠りにつけるというウェアラブル機器である。

睡眠中の活動量を可視化する機器は、これまでにも多く見られるが、アプリとの連携により呼吸パターンの自律を促すタイプは画期的だ。寝つきが良くなって「睡眠の質」が向上すれば、昼間の集中力アップが期待できるだろう。ログの取得を目的とする活動量計から一歩進んだ、ヘルスケアの先端分野に近い発想の製品である。

睡眠ビジネスは40代以上の潜在需要が大きい?

NTTドコモもヘルスケア分野に注力している。「ムーヴバンド3」は、昼間の活動量や睡眠の状態を、連携するアプリ上で閲覧できる、大人世代に向けたウェアラブル機器だ。

ドコモ・ヘルスケアが発表している「からだデータ」白書によると、男性の平均睡眠時間(平日)は5時間46分で、中途覚醒時間(睡眠中に目覚めてしまう時間)は28分。女性の平均睡眠時間(平日)は5時間58分で、中途覚醒時間は21分である。

6時間に満たない睡眠時間は、朝から晩まで働きながら、という平日の過ごし方を考慮すると、少々短いという印象がある。限られた睡眠時間の中で、いかに安眠して疲労回復、リラックス効果を得ることができるか。それが日々のコンディションにつながるために、睡眠中の活動を詳しく知りたいという欲求があることは頷ける。

因みに同調査では、職業別の中途覚醒時間においては「経営者・役員」が最も長い。会社員の「41分」に比べて、約1.65倍となる「68分」である。これにより、仕事の重圧や不安が、睡眠の質に影響を与えることがあるのかもしれない、と結んでいる。いずれにしても、夜間の睡眠時間で、眠れていない時間が30分~1時間程もあることが分かれば、自分の健康管理を見直そうとするのは自然なことだ。

「ムーヴバンド3」で取得した睡眠時の活動は「WM(わたしムーヴ)アプリ」に転送されてグラフとなり可視化される。睡眠時間と、その中での眠りの深い時間、浅い時間がグラフ上で一目瞭然となる。これらを測ることで睡眠にこだわるようになり、生活習慣の改善につながるという。

同製品のコンセプトは「年頃の大人たち」が普段の生活で無理せず手軽に使える、ということ。主に40代の利用者の使用感が公表されており、「疲れが取れにくくなっている」ことを実感する年代に向けて、テクノロジーを利用するヘルスケアの習慣づくりを提案している。

「睡眠の質」の可視化が事業機会につながる

フィットビット・ジャパンが販売する活動量計「Fitbit Charge HR」は新色「ピンク」を追加、計6色を揃えている。昼間は心拍数や基礎代謝、消費カロリーなどを取得し、夜間(睡眠時)は睡眠モニターとなる。特徴的なのは、自動で睡眠を検知してくれるので、就寝前に煩わしい一手間を加えることなく、毎晩の睡眠ログが取れることだ。

「Fitbit Charge HR」は眠りの深さ、浅さではなくて「時間」と「睡眠の質」を示してくれる。「睡眠の質」では「目覚めた回数」と「寝返りの回数」が表示されて、それらを基に「睡眠効率(%)」が算出される。この数値が低いと、実質的な睡眠時間が少ないことになり、利用者は眠りの質が良くないという認識にいたる。たっぷりと睡眠時間をとっているはずなのに、朝起きて疲れが残っていたり、翌日に眠気が続いたりするようであれば、眠りの質を上げなければいけないことが分かる。「睡眠効率」を可視化できるデバイスとして「Fitbit Charge HR」には愛好者が多い。

ウェアラブル機器を使うと、利用者は簡単に眠りの状態を知ることができる。そして「睡眠の質」を改善しよう、ということになれば、それはヘルスケア分野の企業にとっての事業機会となる。デバイスに限らず、例えばサプリメント(健康補助食品)や機能性に優れたマットレスなど、睡眠に関するビジネスは盛況だ。「睡眠の質」を改善したい、という潜在需要は大きいものがあるのだろう。(ZUU online 編集部)

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