近年、自動車にはドライバーが安全に運転を行えるようADAS(先進運転支援システム)が装備され始めている。

ADASとは自動ブレーキ、衝突防止システム、車線維持支援などに欠かすことのできないシステムである。そして、それらADASを作動させる「目」の役割を担うのが、カメラやミリ波レーダー、レーザーレーダーだ。特にミリ波レーダーは自動運転車に欠かせない技術とされている。雨、霧、夜間、逆光などカメラの弱点をカバーすることが期待されるためだ。

ミリ波レーダーは低価格化が進んでおり、大衆車への採用が一気に拡大する可能性が高まっている。世界各国で自動ブレーキの搭載が義務づけられるのも時間の問題だろう。

ミリ波レーダー開発に取り組む企業

自動運転システムを開発するのは自動車メーカーが主体だが、部品のすべてを自動車メーカーで製造するわけではなく、モジュールメーカーなどと共同開発することが多い。

デンソー <6902> は、トヨタ <7203> と共同でミリ波レーダーと画像センサーといった安全分野の中心部分を新型プリウス向けに開発している。

富士通 <6702> は、連結対象子会社でカーエレクトロニクスの富士通テンでミリ波レーダーを手懸けている。2015年の東京モーターショーでは、車外の情報を捉える「マルチアングルビジョン」や「ミリ波レーダー」などのセンシング技術を展示した。

日本電産 <6594> はモーターやセンサー、制御の得意分野を活用して、レーダーのコストダウンを計っている。コストダウンによって現在のADASから複数の機能を連携させ自動運転の発展に寄与する方針だ。

ミツミ電機 <6767> は、アンテナ技術などをベースに79GHz帯のミリ波レーダーの開発を進めている。79GHz帯ミリ波レーダーはクルマの衝突防止用レーダーの新仕様として規格が策定され、既存の77GHz帯ミリ波レーダーを補完するシステムとして、数年後の実用化が予想されている。

自動ブレーキ普及に取り組む企業

アイシン精機 <7259> は、子会社のアドヴィックスで自動ブレーキのシステムを生産する。2014年に実質的な支配株主であるトヨタのブレーキ部門と、トヨタ系自動車部品の大手デンソー、アイシン精機のそれぞれのブレーキシステム事業を統合し、アドヴィックスに集約した。自動ブレーキの場合、デンソーはクルマや歩行者を認知するセンサーや解析装置を担当、自動停止するブレーキシステムをアドヴィックスが生産する。

NTN <6472> は、ボールねじを用いたブレーキシステムが次世代自動車の自動運転技術に採用されると見込まれている。

日本CMK <6958> は、プリント配線板メーカー。自動車向けが好調で自動ブレーキのみならず、自動運転用のモジュールやユニットの小型化に必須の技術を有している。

日清紡ホールディングス <3105> は、自動車用ブレーキ摩擦材事業で世界トップシェアを占める。また、ドラムブレーキとトラック用のディスクブレーキのモジュールを製造している。自動ブレーキの普及が進むにつれて商機が膨らみそうだ。

曙ブレーキ <7238> は、自動車用ブレーキを中心に生産し、トヨタや日産、米GMを中心に各完成車メーカーへの供給を行っている。ブレーキパッドの日本と米国市場のシェアは4割を占めており、こちらも自動ブレーキが広く普及するなかで商機が高まることが期待される。(ZUU online 編集部)

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