米P2Pサービス会社レンディング・クラブの設立者兼CEO、レオナルド・ラプランシュ氏が5月9日、突然の辞任を表明した。株価は前日の最高値7.12ドル(約777円)から一気に下降。終値は34.9減の4.62ドル(約504円)で幕を閉じた。

レンディング・クラブでは「一部の投資家の運用資産(2200万ドル/約24億64万円)を利用して、規約違反の融資が行われていた」として内部調査が行われており、違反融資に関与したマネージャー3名を解雇するなど対策が投じられていたが、ラプランシュ氏はそうしたネガティブな状況の責任を負うかたちで、最終的に座を退いたものと思われる。

P2P企業としては初の上場を果たしたパイオニア的存在の失脚が金融機関に投げかける波紋の輪は、予想以上に大きな広がりを見せるかも知れない。

業績へのプレッシャーから審査基準を無視して融資

2006年の設立から8年目にして晴れて上場企業となったレンディング・クラブ。2012年には元モルガン・スタンレーのジョン・マックCEOを社長に迎え、昨年は米上場企業1200社中「利益面で著しい飛躍を遂げた10社」と認められるまでに急成長した。

上場以降は常に予想を上回る業績をあげ続け、ウォール街のアナリストには1億4820万ドル(約161億7158万円)と予想されていた第1四半期の利益も、1億5310万ドル(約167億627万円)と期待を大きく上回る成果をあげた。

しかし「成果」へのプレッシャーが膨らみ過ぎたのか、ここに来て水面下で進行していた問題が突如浮上することになる。

ソーシャル・レンディングとも呼ばれるP2Pの目的は、ネットワークを通して融資する側(貸し手)と融資を受ける側(借り手)を結びつけることだ。レンディング・クラブのような仲介業者は借り手の身分や返済能力に審査基準を設け、貸し手に「信頼性」を提供することで生まれる利益を収入源としている。

レンディング・クラブは業績を上げる手段の1つとして、貸し手に無断でこの審査基準のハードルを下げ、規定の基準に満たない借り手に融資を行っていた。

多くのアナリストは「今回のスキャンダルがレンディング・クラブの経営面に致命的な打撃を与える可能性は低い」とコメントする一方で、「投資家や金融機関からの信頼を回復するには相当の時間と努力が求められる」と見ている。

また米国では経済の先行きを懸念する投資家や中小企業の間で「借り渋り傾向」が増し、Prosper MarketplaceやOn Deck CapitalといったライバルP2P企業が業績の伸び悩みを理由に事業縮小などを余技なくされている。

「追い風が止んだ」ともとれる状況に加え、P2P産業のカリスマCEO、ラプランシュ氏が不名誉なスキャンダルとともに不在になった今、P2P産業がどのような新展開を見せるのかに注目が集まっている。( FinTech online編集部

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