4月に600人の人員削減と34店舗の閉鎖を発表したばかりのロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)が、新たに200人の解雇と20店舗の閉鎖を予定していることが明らかになった。

米メディアの報道によるとRBSの各支店では過去2カ月だけでも10人に1人以上が職を失っており、その数は3月中旬から1350人と、リストラの相次ぐ英金融機関の中でも過去2年間で最も大規模な事業縮小となる。

悲壮感漂うRSBの大量解雇を通して、「人間の従業員が対応する従来型の支店は、一部の富裕層だけに与えられた特権になるのではないか」という意見も聞こえてくる。

英消費者の7割がオンライン・バンキング利用

5月4日にエディンバラで行われた株主総会でロス・マキューアンCEOは、消費者のデジタル・バンキング趣向が高まるにつれ、支店を訪れる顧客数が2010年と比較すると半分以下に、支店の窓口での取引は30%減ったことを人員整理の理由として挙げた。「我々は厳しい状況下で生きることを余技なくされている」と、押し寄せる時代の変化には太刀打ちできなかったことを認めている。

英政府が73%を所有するRSBは、創業289年の歴史を誇り、かつては22万人の従業金と700店舗を誇る英大手銀行の1つであったが、2014年から既に支店数は半数以下に減っている。

消費者の支店離れとは対照的に、オンラインを利用した取引は4倍に伸びており、フォレスター・リサーチの調べでは英国の消費者の73%がオンライン・バンキング(そのうち28%はモバイル・バンキング)を利用しているという結果がでている。

こうした消費者の需要の移り変わりから、銀行側も「従業員による支店は過剰にコストがかる」という考えに移行し、将来的には一般消費者にはオンライン・バンキングを、富裕層には支店サービスを--といった形状に切り替わっても不思議ではない。

RBSは支店の閉鎖された地域で「モバイル・ヴァン・バンキング」というワゴン車による移動バンキングサービスを提供するなど、定期的に各地域の顧客による需要を見極める努力を行っている。

しかし今年の銀行顧客満足度投票で30社中最下位に選ばれたところを見ると、そうした努力は直接評価につながっていないようだ。

2008年の金融危機の際、英国政府が注入した莫大な公的資金(455億ボンド/約4兆8888億円)を社内ボーナスとして浪費するなど、地に落ちた評判を取り戻すには、並の努力では不足といったところだろうか。( FinTech online編集部

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