年初以来の春の嵐〟はようやく収束の動きを見せ始めている。やはり、政策対応の効果が大きい。そうパニックは政策の母!という。そして、危機は必ず克服される。これが歴史の教訓である。
消費税引き上げは凍結?
まさに、今回もそうだったのではないか。
日欧の金融当局はマイナス金利政策を断行、中国政府は財政出動を含め、「何でもあり」の施策を打ち出す方針を明らかにしている。
一方、日本政府は消費税の引き上げ(2017年4月の8%→10%)を凍結するだろう。
現状の景気実勢を考えると、これはやむを得ない。ここはデフレ脱却を優先するべきである。もちろん、野党は「アベノミクスの失敗」と決め付け、批判を強めるだろう。これに対し、安倍政権は「国民の信を問う」戦略に出る。
すなわち、7月10日は衆参同日選挙になろう。6月1日の今国会会期末の解散となる。
このため、日本もまた、中国と同様に、「何でもあり」の景気対策が遂行されるだろう。
7月は衆参同日選挙!
まず、5兆円規模の補正予算の編成方針があろう。日銀はマイナス金利(現在0・1)%→0・2~0・3%)幅の拡大のほか、ETF、REITの買い入れ額の増額に踏み切る。
為替は1ドル=115~118円の円安に振れるだろう。日米金融政策のスタンスの違いに加え、本邦機関投資家の外貨建て資産の購入意欲の高まり(月間5兆円に迫る買い越し)が円安を支援する。
原油価格は完全に下げ止まった。1バレル=30ドル以下の水準ではほとんどの産油国が財政均衡ラインを下回っている。さらに、現金収支をベースの採算ラインを下回る。
これは操業すればするほど、現金が流出する状態を示している。バナバカしくて、やってられないと思うが…。
アメリカのシュールガス・オイルの掘削リグは、昨年6月のピーク(1609基)が直近では400基と激減した。今後、生産量はドラスチックに減少するだろう。
原油価格は50ドル前後まで戻る。
中国は問題を封じ込める!
要するに、株価急落の主因となった悪材料の多くがピークを過ぎた。
中国は国家の威信にかけて、危機を封じ込めるだろう。中国発の世界恐慌はあり得ない。なにしろ、共産党1党独裁の国である。それができる。
アメリカは7月には民主党、共和党の大統領候補者が揃う。
つれて、ネガティブな論争が終焉し、焦点は候補の政策に移る。ちなみに、ヒラリー・クリントン女史は、社会資本の再構築(50兆円規模のニュー・ニューディール政策)を政策テーマのひとつに掲げている。
この動きは日本に波及するだろう。
ここでの投資戦術は?
さて、ここでの物色面、投資戦術はどうか。物色面では引き続いてテーマ性有する〝小物〟にマトを絞りたいと思う。反面、主軸株はこれまでと同様、突っ込み買いの吹き値売り作戦を採用すべきだと考える。
テーマ的にはバイオ創薬、フィンテック&ブロックチェーン、仮想通貨、自動運転、AR(拡張現実)、民泊、5G(次世代の通信網)、VR(仮想現実)、遠隔診療、人工知能、ドローン、ロボットなどがメーンとなろう。
具体的には、ドーン <(2303> 、ジグソー <3914> 、そーせいグループ <4565> 、モルフォ <3653> 、セレス <3696> 、サイバーネットシステム <4312> 、マルチザネットワークス <6778> 、MRT <6034> 、RVH <6786> などに注目できる。
やはり、テーマ性を有する〝小物〟が主役である。ペプチドリーム <4587> 、リプロセル <4978> も狙える。外部環境が不透明なだけに、その影響を受けにくい銘柄にマトを絞る戦術は有効だろう。
まして、日本の株式相場は外国人、先物取引、HFT(ハイ・フリクウエンシー・トレーディング)などに振り回されている。彼らに打ち勝つにはそれなりに努力がいる。
【プロフィール】
杉村富生 経済評論家
ラジオNIKKEI「ザ・マネー」毎週水曜15:10?16:00出演中。新刊『さらっと短期売り抜け株、がっちり長期保有株の見抜き方』(ビジネス社)、3刷『これから10年株で「1億」つくる!』(すばる舎)、好評発売中です。(記事提供=
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