5月第2週の東京株式市場は堅調だった。前週まで続いた円高の流れが一服し、日経平均株価は12日まで4日続伸した。ただ、週末13日は休日前で利益確定売りが膨らんだ。
企業の決算発表が一巡した。前期に好業績だった主要企業の中には、今期の9月中間業績を減益と見込む企業が少なくなかった。円高は企業業績に影響を及ぼしているため、投資家心理はなかなか改善しにくいようだ。
現物株投資に669万円が必要な銘柄も
今回は東証1部の「単元株価格」上位10社の顔ぶれを見てみよう。
(1) キーエンス <6861> 669万円
(2) キッコーマン <2801> 367万5000円
(3) 住友不動産 <8830> 301万1000円
(4) ファーストリテイリング <9983> 285万円
(5) 三井不動産 <8801> 263万0500円
(6) SMC <6273> 262万4000円
(7) 山崎製パン <2212> 262万1000円
(8) 日本ハム <2282> 255万9000円
(9) 良品計画 <7453> 251万8000円
(10) 日本ガイシ <5333> 232万3000円
※5月13日終値を元に算出。単元株数は(1)(4)(6)(9)が100株、その他は1000株。
単元株数とは、通常の株式取引で売買される売買単位を指す。配当金や株主優待がもらえ、株主総会では議決権を行使できる。換言すれば、過去の株式分割などで生じた単元未満の株主は、株主としての権利を享受することはできない。
単元株価格が高いということは、現金で現物株投資をしようとする個人投資家にとってハードルが高いことを意味する。一方で業績予想をもとに投資判断する機関投資家に好まれやすい銘柄となる場合が多い。
キーエンスは検出・計測制御機器大手
それでは、単元株価格上位10社の中からキーエンス、キッコーマン、山崎製パンの3銘柄を取り上げたい。
キーエンスは工作機械や産業用ロボットなどFA(ファクトリーオートメーション)用のセンサーなどを手掛ける検出・計測制御機器大手。「ATOK」「一太郎」などを手掛けるソフトウエア会社ジャストシステムを傘下に持つ。
4月下旬に発表された2016年3月期決算では、センサーの販売が好調で、売上高、営業利益、純利益などは過去最高を更新した(※決算期変更による変則決算のため通年ベースに換算して比較)。
アナリストの最新リポートでは「強い営業組織が顧客企業の合理化ニーズを感知し、開発部隊が伸びる商品群を儲かる仕立てで上市している」と評価。2017年3月期も過去最高の営業利益を予想し、目標株価を8万円(単元株価格は800万円)に設定している。
ただ、キーエンスは株式市場での評価と、就職情報を扱うメディアでの評価が割れる。キーエンスで検索すると「基本ブラック、給料はホワイト」「30代で家が建ち、40代で墓が建つ」などの記述も見られる。同社は働く者の評価と、投資家の評価が乖離する典型的な企業でもある。
キッコーマン、和食ブームで海外で成長続く
キッコーマンはしょうゆ最大手。めんつゆやケチャップ、料理の素「うちのごはん」など幅広い食材を手掛けている。ワインは「マンズワイン」のブランドを展開し、自社農園も持つ。サントリーホールディングスやキリン系のメルシャンと並ぶ日本ワインの大手である。
財界で活躍する創業家一族の茂木友三郎取締役名誉会長は、1973年に米国でしょうゆ工場を立ち上げたことで知られる。北米はキッコーマンにとって収益の柱となっている。また、欧州など他の地域でも、健康志向で「和食ブーム」でしょうゆの人気が高まっている。このほど発表した2017年3月期業績予想では、円高の影響で営業減益は前期実績を下回る見通しだ。
山崎製パン、「オレオ」などのライセンス喪失
山崎製パンは国内のパン最大手で、コンビニ「デイリーヤマザキ」も展開する。傘下には「オレオ」のヤマザキナビスコ、「ミルキー」の不二家、「キャラメルコーン」の東ハトを持つ。
この秋から「オレオ」「リッツ」「プレミアム」の国内での販売権がモンデリーズ・ジャパンに移り、ヤマザキナビスコは「ヤマザキビスケット」に社名を変更する。同社には他にも「チップスター」などの定番商品があるが、証券アナリストからは、ナビスコブランドの契約終了により収益性が低下するとの見方が出ている。ヤマザキナビスコは上記3ブランドの契約終了にあわせて、競合するクッキーなどの販売に乗り出す方針だ。(ZUU online 編集部)
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