ついに2016年3月期の日本テレビ放送網の単独売上高がフジテレビの単独売上高を上回った。31年間続けていたテレビ業界の売上高トップの地位交代だ。すでに視聴率ではフジテレビのちょう落傾向がはっきりしており、日本テレビが2013年度以降3年連続トップを維持している。
女子アナランキングでも日本テレビの水卜麻美アナが3年連続トップになっている。民放キー局の業績と女子アナの人気ランキングの関連性を追ってみよう。
日テレが念願の売上首位に
2016年3月期の民放テレビキー5局の単独決算が出揃った。日本テレビ放送網の売上高は3070億円7700万円(5.7%増)となり、フジテレビの売上高2897億円800万円(6.5%減)を上回ってトップに立った。フジテレビは1984年から31年間守ってきたテレビ局の売上高首位の座をついに受け渡した。
2016年3月期キーテレビ局5社業績(前年比)
最終利益ではまだフジテレビが日本テレビを上回っているが、フジテレビは視聴率の低下と歩調を合わせるように最終利益も2012年3月期をピークに減益トレンドとなっている。増益トレンドである日本テレビが今年度にもフジテレビを逆転する可能性がありそうだ。
なお、持ち株会社フジ・メディア・ホールディングス <4676> の連結売上高は6405億7200万円(0.4%減)で首位となっており、2位の日本テレビホールディングス <9404> の4147億8000万円(14.4%増)にまだまだ大きく差をつけている。
視聴率ではすでに日本テレビが3年連続3冠王
視聴率はテレビ業界の先行指標といっていいだろう。視聴率によって、広告の値段や広告枠の人気が変動するからだ。広告収入の採算はテレビ局の収益に直結する。
すでに視聴率ではフジテレビの凋落傾向がはっきりしている。テレビ局ではゴールデンタイム(19~22時)、プライムタイム(19~23時)、全日の3つの時間帯で視聴率を発表しており、日本テレビは2013年度以降、この3冠で3年連続トップとなっている。一方、フジテレビは下落トレンドのままで、2016年3月期はついにTBSに抜かれ4位まで順位を下げた。2004年から7年連続「3冠」に輝いたフジテレビのかつての栄光はもはや見られない。
キー局ゴールデンタイム年度別視聴率と順位の推移(%・順位)
女子アナランキングでTV局の業績動向はわかる!
日本テレビの3連連続3冠王のシンボルとなったのが女子アナランキングで3年連続トップとなった水卜麻美だ。フジテレビの「笑っていいとも」が終了し、日テレのヒルナンデスがお昼の人気番組となった。そのヒルナンデスに起用され人気を得たのが水卜アナだ。実直で飾らない態度と、天然と評される言動やリアクションでたちまち人気アナになった。その体型と食べっぷりから「ぽっちゃり系」アナウンサーとも言われている。 日テレの3冠王と水卜アナの女子アナ3連覇は完全にシンクロしている。女子アナとテレビ局の業績の相関性は高そうだ。
過去を振り返っても、フジテレビが2004年から7年連続三冠王となった黄金時代には、通称アヤパン、高島彩が押しも押されぬトップ女子アナだった頃と重なる。
フジテレビは局全体では視聴率がちょう落しているが、元祖女子アナ人気のテレビ局としてトップ10に2人ランクインさせている。ただ2位のカトパンこと加藤綾子がフジテレビを辞めフリーになった。フジテレビの復活には赤丸上昇中の山崎有貴がフジの顔になることが必須かもしれない。
前年度フジテレビを抜いて視聴率3位に上がったTBS.ではあるが、女子アナトップ10に一人もランクインしていない。まだまだTBSも浮上のチャンスをつかんだとは言えなそうだ。 会社の視聴率、業績などのモメンタムの上昇にかかせないシンボルが女子アナだとすれば、今年も日テレの年になりそうだ。
2015年オリコン第12回 好きな女性アナウンサーランキング
①水卜麻美 前年① 日本テレビ
②加藤綾子 ② フジテレビ
③有働由美子 ③ NHK
④山崎夕貴 ⑩ フジテレビ
⑤桑子真帆 初 NHK
⑥狩野恵里 ⑥ テレビ東京
⑦竹内由恵 ⑦ テレビ朝日
⑧夏目三久 ⑩ フリー
⑨赤江珠緒 初 フリー
⑩大江麻理子 ④ テレビ東京
テレビ不況を吹き飛ばせ
現在は、インターネットの動画サイトやCSチャンネルなどのコンテンツに人気を奪われつつあり、テレビ不況の時代と言われている。テレビ全体の視聴率の低下で広告効果が低下しており、広告が集めにくくなってきている。かつては30%を越える視聴率のお化け番組も少なくなかったが、今ではこんな数字は不可能に近く、現在の視聴率の合格ラインは12%程度。
スポンサーがつかないため、番組の質も低下し、どの番組を見ても同じ顔ぶれのお笑いタレントが並び、同じような内容が多くなってしまうと嘆かれている。 フジテレビが1980年台に黄金期を築いたのは、「ひょうきん族」など庶民を代表するテレビ局として広く受け入れられていたからだ。1997年に本社がお台場に移り、2000年台の黄金時代を経るうちに、その庶民感覚、チャレンジ精神が薄れてきたため、フジテレビの凋落が始まったとの分析が内部からでている。
フジテレビは、今年も番組大改変を断行して昔のカルチャーを取り戻そうとしている。フジテレビだけでなくテレビ業界を活性化するようなチャレンジを視聴者は待っている。(ZUU online 編集部)