事故物件,不動産,告知
(写真=PIXTA)

千葉県の豪邸、しかも10LDKが1100万円と聞けば、だいぶリーズナブルだ。だが、未解決の殺人現場だったと聞けば、話はだいぶ変わってくる。家を買うとき・借りるとき、事故物件を見抜くポイントを不動産のプロに聞いてみた。

賃貸なら事故物件需要あり?

どういう物件で、いつ・どこで・誰が・どのように亡くなったかという、条件の組み合わせ次第で、売却や賃貸募集時に「告知事項あり」と記載されてしまうのである。

公に告知事項ありとしていても、詳細まで記載されることは少なく、あまり広めたい話でもないため、個別での説明になるケースが多い。

「告知事項あり」の物件でも、買うか借りるかで受け止め方は大きく変わる。賃貸で部屋を借りる場合、所有する訳ではなく、金額も小額のため、一定のラインまで賃料を下げれば、需要があるのだ。賃料相場の80%〜50%の家賃になると言われているが、立地がよければ相場の70〜80%前後でも入居を決める人がいる。

自宅用戸建や区分マンションの事故物件でさえ、賃貸物件として購入し運用することも可能なのである。

オーナー・業者の良心に任せず、自分の身は自分で守る

殺人や変死等、事件性がある場合、原則告知しなければならない。特に売買では、事件性が無くても売主が予め告知する場合もあるくらいだ。そのため、何も言われないなら大丈夫と思いがちである。だが、必ずしもそうとは限らないため、購入を考えている物件の過去は、自分で調べるしかないのが正直なところだ。

⑴ インターネットで物件の過去を検索
インターネットで、近隣で関連ニュースがないか検索するのが一番簡単だ。住所から調べるだけでなく、最近は事故物件関連のサイトもあるので、参考にしてみるといいだろう。

⑵ 検索で出てこない話もご近所へ聞き込み
近隣への聞込み調査をおこなう方法がある。これは購入を検討している人には特に有効だろう。近隣に聞込み調査を行うと、事件・事故にかぎらず、意外な過去が明らかになる場合が多い。まるで刑事のような作業だが、意外としゃべってくれるものである。

⑶ 業者を通して最終確認 裏を取るのが重要
なんらかの情報が引っかかってきたら、必ず裏を取ろう。最終的に業者を通して、オーナーに聞いてもらうのである。そこまで調べればオーナーでもさすがに噓はつけない。

⑷ 賃貸では状況次第で告知されない
部屋で倒れて、病院への搬送途中で亡くなった場合は、ほとんど告知されない。これは部屋で亡くなったわけではないので、告知されなくてもあまり驚かない。
部屋で病死したが、発見が早く事件性なしとなった場合は、グレーであるものの、告知されないケースが多いのである。

一番気になるのは、たとえ事件性のある死亡事例があっても、告知されないケースがあることだ。法的に告知義務期間というものは定められていない。そのため、事件の直後の入居でない場合、事件性のない自殺だけでなく、告知されずに後に裁判になるケースもある。

飛び降り自殺があっても事故物件にならない?

個別の部屋の話を紹介したが、物件全体に影響すると思われる飛び降り自殺の場合はどうだろうか。ニュースなどでは飛び降り自殺の話が良く出るが、そのような告知事項に巡り会うケースは稀だ。

⑸ 飛び降り自殺は告知されない
敷地外に着地した場合や救急車で運ばれる途中で亡くなった場合、告知されることは少ない。近隣ではニュースになっていることが多いため、入居後にこのことを知って、騙されたと思う人もいるだろう。だが、法的に明確なルールはないのが現状で、裁判も前例をもとに判決が出る。そのため、「飛び降り自殺でマンションの住人たちが勝訴」というような判例がない限り、望んだ判決が出る可能性は低い。

心理的に影響する物件を避けたければ、周辺の相場や情報を調べるしか身を守る方法はない。検討している物件は自分で調べたり、疑問点は率直に質問したりすることが重要なのである。

黒木陽斗(くろきはると)
投資家。米国大学卒後、一部上場大手企業を経て、シリコンバレーのベンチャー企業へ転職。ヘッドハントで6社以上の会社を渡り歩き、起業家など多くのビジネスエリートたちと接する中で、共通する考え方や習慣に気付く。それを不動産投資に応用して成功させる。現在は、一棟マンション、区分不動産、駐車場を複数所有するに至る。著書に『金持ちリタイア・貧乏リタイア〜社長より稼ぐサラリーマン大家の不動産投資術〜(ぱる出版)』、『シリコンバレーのビジネスエリートたちが実践する 使っても減らない5つのお金のルール(扶桑社)』がある。

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