不動産投資
(写真=PIXTA)

不動産投資の成功パターンは個々の属性や性格による部分も多く、色んな投資家の成功体験本を読んだだけでは、どんな手法が自分に合っているのか迷うばかりで判然としない。成功への道は様々だが、いっぽうの失敗には「汎用性」、「再現性」がある。人はみんな同じ間違いをするのだ。

つまり、成功より失敗事例を学ぶことの方が遠回りのようでも実は成功への近道。初心者が失敗しがちな事例を紹介し、不動産投資の本当の学習ステップを解説していこう。

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知識がないまま不動産を購入してしまった

最初の落とし穴は、不動産投資に興味を持ち、少し分かったつもりになった時に訪れる。仲介会社から区分マンションの提案を受け、不動産オーナーになれることと給与以外の収入ができることで夢心地になり、そのまま契約してしまう事例が後を絶たない。

契約後、同じマンションで過去にもっと安い価格で売買取引がされていたことを知り、自分のうかつさと知識不足を痛感し、ようやく不動産投資の本格的な学習を決意した例があった。

不動産投資の「初心者の勘違い学習」

一般的に不動産投資に興味を持った人が始めにやるのは次の通り。

①書籍を読む(CD・DVDを含む)
②先輩大家さんのコラムやメルマガを読む
③無料の不動産投資セミナーに通う

ここまでは誰もがたどる道。この辺りで自分も物件を購入してみたくなる。しかし、これだけではネットで投資物件を探し始めても成功できない。基礎的な学習ポイントが抜けてしまっているのだ。そのために肝心の物件の選択基準が出来ていない。これがないと、失敗する確率が高い。

『失敗事例に学ぶ! 「不動産投資」成功の教科書』日本実業出版社 (2015/12/17)。画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。
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「低金利時代に毎月1万円もお小遣いがもらえますよ。しかも、最後には自分の資産になりますからね」と仲介会社の甘い誘い。しかも、ローンの紹介もセットになっていて、自己資金も少額で済む。言われるがまま儲からない物件を買ってしまい、ローンだけが残ることになる。購入後、手取りが少ないことに気づき、売却しようとしても売却損が発生。売るに売れずに6~10年塩漬けになってしまう。こんな例をよく耳にする。

不動産投資の本当の学習ステップ

大事なのは「勘違い学習」の後に、正しく学習すること。

①(不動産会社ではない)有料の不動産投資セミナーに通う
②(成功している)先輩投資家に聞く
③取引先や投資家仲間と情報交換する

有料のセミナーで体系的に学ぶことがポイント。無料のセミナーだけでは、不動産会社からの営業を兼ねた情報が多いため、どうしてもバイアスが掛かってしまうもの。多少、費用はかさむが、将来の正しい物件購入で簡単に元は取れる。

5年以上継続されている先輩投資家に物件の選択基準や融資手法も聞いておきたい。仲間との情報交換では市況の変化やトレンドを収集しよう。

最初に理解するべき賃貸事業の収支構造

不動産あるある

(*)これがあるため、区分マンションは1棟ものに比べて経費ハンデがある。

⑤税引き前利益が事業収益としての課税対象。実際の現金収支が⑦キャッシュフローと呼ばれる。⑤と⑦の違いはぜひ覚えておきたい。

ややこしい計算のようだが、EXCELでやれば大丈夫。損益シミュレーション用Webサイトもある。最低限この計算は理解して欲しい。表面利回りだけで判断せず、この不動産賃貸業の収益構造を正しく理解した上で物件を選別することがスタートとなる。

ちょっと電卓を叩く、実際に物件を見る。これだけでぐんと不動産投資の成功の確率は上がるはずだ。

山本 常勝(やまもと つねかつ)
サラリーマン不動産投資家。定年の声が近づく中、自分年金作りを目標に53歳から本格的に不動産の勉強を始め、数多くの不動産を取得して賃貸事業を拡大、2.7億円の資産形成に成功する。登録メンバー1600名を誇る不動産投資サークル「 ふどうさんぽ 」事務局を務めながら、ファイナンシャル・プランナー(AFP)としても情報発信中。