「グローバル・キャッシュ指数(GCI)」の西ヨーロッパ版が発表され、デビットカードやクレジットカード、仮想通貨といった決済手段に押され気味の現金決済が、少なくとも今後4年間は成長を続けると予測されていることが判明した。その一方で「GDP成長率の高い国ほどキャッシュレス化が進み、GDP成長率の低い国ほど現金決済が主流のままである」という、興味深い指摘がなされている。
全体平均的としては成長速度は鈍化し、GDP(国内総生産)に対する割合は落ちこむようだ。
現金決済率とGDP成長率の速度のバランスが崩れ始める
GCIは米決済情報サイト「PYMNTS.com」が、「決済手段として利用されている現金の未来」をテーマに、西ヨーロッパ15カ国(英、独、仏、伊、オランダ、オーストリア、ベルギー、スイス、フィンランド、スウェーデン、アイルランド、ルクセンブルグ、マルタ、ポルトガル、スペインをWU-15と称する)における現金の決済流通高を予測したものだ。
昨年WU-15で決済に用いられた現金は2兆1000億ユーロ(約237兆5812億円)。2010年からの5年間で0.3%増えており、2015年から2020年までにさらに0.7%成長すると見こまれている。
しかし同時期に15.4%の伸びを見せているGDPに対する割合は、今後1.8%減少。GDP自体は3.1%の上昇が期待され、現金決済自体も2兆2000億ドル(約248兆8946億円)に達すると見積もられているため、現金決済の成長速度がGDP成長速度に追いつかなくなることが予想される。
特にデビットカードの普及率が世界一といわれるドイツやオランダを始め、フィンランド、アイルランドなどでは、2020年には現金の成長率がマイナス2.2%から35.3%に達するようだ。
意外なことに、キャッシュレス化先進国、スウェーデンの現金決済成長率は5.9%と予測。。過剰なキャッシュレス社会化を懸念したスウェーデンの中央銀行が、「キャッシュ・サービスの提供を、決済用口座の必須事項として銀行に義務つける」という法的必要条件を、今年3月に財務省に要請したことが背景にあるのかも知れない。