銀行の利益に関する最新レポートから、年々アジア太平洋地域の銀行が勢力を伸ばしていることが判明した。

レポートを発表した米コンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、2015年に世界中の銀行がプールしていた利益1兆ドル(約100兆2400億円)中、46%はアジア太平洋地域の銀行によるもので、そのうち中国が占める割合は56%と独走。日本は8%となっている。

10年間で16%もアジアを押し上げた中国だが・・・

2005年から2015年までの地域ごとの変動を見てみると、かつて全体の大部分である38%を占めていた北米は25%に、26%だった西欧は16%に、2%だった東欧は1%に軒並み落ちこんでいる。

拡大が見られたのは南米とアジア太平洋地域のみだが、南米の上昇率はわずか2%と、アジア太平洋地域の比較にはならない。

2005年には全体の3割にも満たなかったアジア太平洋地域の銀行利益プールを、過去10年間で16%も押し上げた背景には、特に中国における経済の大きな変動があることは間違いない。

アジア太平洋地域の半分以上を独占する中国の銀行利益プールと、第2のシェアを占めるその他のアジア太平洋地域発展国(日本、インド、オーストラリアを除く)との間には、43ポイントもの差が開いている。

OECDやIMF(国際通貨基金)によるGDP(国内総生産)成長率予想では、中国を追い抜いているインドの銀行でさえ、昨年の利益プールは7%と日本よりも低い。オーストラリアはこれをさらに下回る5%だ。

中国の銀行の飛躍は、富裕層や中級階層の増加にともなう内需拡大に深く起因するもので、近年は大口銀行市場よりもリテール銀行市場の方が、著しい盛り上がりを見せている。