不良債権、経済成長の低迷、スタートアップがアジア銀行にとっての3大懸念
しかしこのままアジア太平洋地域の銀行が順調に加速していくのかという点では、疑問が残る。
利益が増えている一方で、自己資本利益率(ROE)には早くも陰りがさしているのだ。
アジア太平洋全地域で経済成長が鈍化すれば、銀行の顧客である企業に深刻な影響が出始めるのは確実だ。実際中国では昨年、GDP成長率が2000年以来初めて7%を切るなど、不穏な気配が濃厚になりつつある。
年々増加傾向にある不良債権も気になるところだ。マッキンゼーの分析では、損失を補い、自己資本規制比率(CAR)を維持するには、2020年までに4000億から6000億ドル(約40兆920億円から60兆1380億円)の増加資本が必要になる。
こうした懸念とともに、スタートアップによる追い上げの圧力も加わっている。近年のFinTechの盛り上がりは、銀行にとって大きなライバルの出現を指す。
中国での最たる例は、アリババとテンセントという大手2社の共同設立によるオンライン保険会社、Zhong Anを筆頭に、P2PのLufax、ローン決済対応のオンラインリテール、qufenqなど、国際規模で注目を集めているスタートアップが続々登場している。
複数の失速要因を考慮にいれた結果、マッキンゼーはアジア太平洋地域の銀行の成長率も頭打ちし、2011年から2014年の10%という勢いから一転、2016年から2021年は3%程度にとどまると見こんでいる。
レポートでは利益リスクについて分析されているが、今後最もリスクが懸念されている分野は消費者金融。次いで決済、SME融資、ウェルス・マネージメント、住宅ローンなどが挙げられている。(ZUU online 編集部)
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