アイ・ティ・リアライズ,CLO,CRECO
(写真=FinTech online編集部)

人生の大きな転機にもなる転職。家族からの理解もあれば言うことはないが、すべての候補者の、全ての家族が賛成するわけではない。社員一人ひとりの人生だけではなく、家族の人生や日常生活にも大きく影響するだけに中々、決心しきれない人もいるかもしれない。

人材不足気味のFinTech界隈でも決して無視できない。最近では「嫁ブロック」という言葉があるように、採用したい男性の候補者がいても、妻の反対によって内定に至らない事態が起きている。

クレジットカードの利用明細をまとめるアプリ「CRECO」を運営するアイ・ティ・リアライズもそんな困難な環境で、人材の採用を進めるFinTech企業の一つで、円滑な採用を進めようと、「社員の家族関係にも優しい」採用を進めている。今回は同社人事総務マネージャー成田佳乃子氏に採用活動についてたずねた。

アイ・ティ・リアライズに襲いかかった「嫁ブロック」

アイ・ティ・リアライズでは、成田氏が中心となり人事、採用活動を進めているが、かつて候補者が妻の反対で採用できないという困難に直面したことがあるという。募集から応募の受け付け、面接を経て、採用への期待も高まっていたにも関わらず、同社、候補者双方にとってもいい結果にたどり着けなかったわけだ。実際に、候補者との面接を担当したサービス開発マネージャーの近澤宏治氏も残念そうに振り返った。

成田氏は最近の傾向について「いわゆる嫁ブロックだけではなく、親類の関係にも影響される。中には義理の両親が出てくることもある」と話し、会社と候補者本人だけではなく、さまざまな“ステークホルダー”への配慮も求められていることを滲ませる。

他方採用のプロセスでは、候補者の家族の話題が思わぬいい効果を発揮することもあるという。成田氏は「面接では家族や友人、恋人からよく言われることはありますか」と質問するとした上で、「候補者の本音を聞けたり、スキル以外の部分で合うか合わないかを見極めたりできる。緊張をほぐす意味でもそう尋ねることもある」と話す。