家族関係にも配慮できるアイ・ティ・リアライズのワークライフバランス

同社ではそうした経験からか、現場で働く立場の社員にも家族や私生活に支障のないような働き方を実現する工夫を積み重ねている様子だ。現時点(2016年8月9日取材)でのスタッフ12人のうちにも、既婚者が比較的に多く、家族を持っている人へ配慮する土壌があるからかもしれない。

子育て世代の社員も多く、子供を迎えにいくために早く帰るなど柔軟に動けるとのこと。成田氏は状況に応じて柔軟に動ける社内の雰囲気について「バランスを考えて働いてもらっているということではないか」と話し、それぞれの事情に合わせた働き方を進めている様子を解説する。

(写真=FinTech online編集部)
(写真=FinTech online編集部)

他方で、私生活への理解、支援があるのは家族持ちの社員に対してだけではない。近澤氏が「独身の、若い人にこそ使ってほしい」と言う住宅補助制度の整備を、同社は推進。エンジニアやデザイナーなど裁量労働制で働いており世帯主で、かつオフィスの徒歩圏内に住むスタッフに対しては、家賃の30%を補助しているという。同社がオフィスを構える渋谷近辺に住居を構えるハードルを大きく下げ、魅力を感じる人もいるかもしれない。

ちなみに、アイ・ティ・リアライズは、金融系システムの構築や、保守運用、コンサルティングを提供する一方で、スマホアプリの開発を推進。「CRECO」はその一例で、カードの利用者情報や決済履歴を参考に、クーポンや特典の情報を届ける機能も備えており、CLO(Card Linked Offer)と呼ばれる仕組みだ。

CLOはカード利用情報の管理に加えて、個人こじんに適した情報を利用者に直接、届けられるほか、カード会社とカード利用者のコミュニケーションを促進する仕組みとして注目されているサービスの一つ。カード決済に対応している店舗側も、年齢や性別、過去の利用実績、競合他社利用状況も考慮して情報を発信できる特徴を持つ。

同社では今後も採用を進める方針で、現在はiOSやAndroidのアプリを製作するエンジニアで、KotlinというJava系のプログラミング言語を使える人材やサーバーサイドを担当できるエンジニアを探しているという。ほかにも、プロジェクトマネージャーを採用し、開発リーダーのようなポジションに人材を獲得したいとのこと。

成田氏も「管理部門の人材採用にも着手したい。来年の春くらいに20人規模の組織になることを目指して採用を進めたい」と今後の見通しについて語った。

将来的な目標として「50人程度規模まで成長するのでは」とするアイ・ティ・リアライズだが、現状は「全員がフルで仕事をしているという前提で突っ走っている状態」(成田氏)だという。「CRECO」など自社サービスの開発にも積極的な同社が今後、どのような陣容を整えるのか、動きを見守る価値はありそうだ。( FinTech online編集部

アイ・ティ・リアライズ株式会社
本社:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-11-5 クロスオフィス渋谷メディオ
代表取締役: 尾上 正憲
資本金:9600万円
アカウントアグリゲーションやCLOを活用して、クレジットカードの利用明細をまとめるアプリ「CRECO」を運営するほか、投信販売システムや外国証券取引システム、海外指数先物取引システムなど、金融分野におけるシステムの開発を推進。「金融を身近に、簡単に、もっと便利に!」をポリシーに、「金融系システム開発のプロフェッショナル」を目指している。個人向け金融の拡充を目指した旬なサービスの順次公開も予定している。

【編集部のオススメ FinTech online記事 】
金融業界のビジネスパーソンはFinTechの進行に危機感を持たなければならない
「フィンテックは必ずしもハイテクばかりではない」みずほFG 山田執行役常務・CDIO
freee「本質的で価値あるものを生み出し、社会に、業界にインパクトを与える仕事を」
スマホ証券・One Tap BUYが求める「ジャージで徹夜も平気」なタフネス
クラウドクレジットに見るFinTech企業で「金融人材」が活躍できる大きな余地