最新(2016年6月)の「米国債保有ランキング」から、日本は中国に次ぐ世界第2の米国債保有国の座を維持していることが分かった。上位でも順位や国・地域の入れ替わりがあったようだ。
多くの国が5月よりも保有量を増やしたのに対し、中国、香港、インド、シンガポール、サウジアラビアの5カ国・地域は8億ドルから81億ドル(約814億5600万円から8247億4200万円)減らしている。また5月には20位だったノルウェーも、1月間で79億ドル(約8043億7800万円)減らし圏外へ。
より長期的な変動を見てみると、中国、日本、シンガポール、アラブ連合共和の4カ国は、1年かけて(2015年7月から2016年6月)徐々に保有量を減らしていっている。
日本の保有数も5月までは下り坂をたどっていた。しかも4カ国中、その期間の減量幅が最も大きいのも日本で、530億1000万ドル(約5兆3975億円)の差がでている計算になる。
多くのエコノミストは、外貨準備を積みあげる余裕を失ってきたこれらの国が、最も動かしやすい米国債の処分に走ったことに加え、国外への資本流出対策にでたことが、主な要因だと分析している。
人口6万人強のケイマン諸島が世界第4位のワケ
「世界で最も安全な国債」と形容されることの多い米国債。米財務省の発表した最新ランキング上位20カ国はアジア圏が目立ち、意外にもフランスやオーストラリアなどがランクインしていない。
最も予想外なのはケイマン諸島だろうか。人口数6万人強(2016年3月Caymannewresident.com調べ)の英領土にあたる西インドの島だが、米国債の保有残高は世界第4位だ。
外部事業以外には法人税が適用されないというユニークな法律で、「租税回避地」としても有名である。ヘッジファンドなどが資産寝かしに米国債を活用し、ケイマン諸島に貯めこんでいることが、英企業コンサルタント会社、オリバー・ワイマンの報告から明らかになっている。
しかし最新のランキングではアイルランドにぬかれ、トップ3から4位へ後退した。
米国債を多く保有している20カ国・地域
20位 アラブ連合共和国 662億ドル(約6兆7405億円)
19位 バミューダ 689億ドル(約7兆154億円)
18位 韓国 821億ドル(約8兆3594億円)
17位 カナダ 853億ドル(約8兆6852億円)
16位 ロシア 909億ドル(約9兆2554億円)
15位 サウジアラビア 983億ドル(約10兆89億円)
14位 ドイツ 994億ドル(約10兆1209億円)
13位 シンガポール 1069億ドル(約10兆8845億円)
12位 インド 1172億ドル(約11兆933億円)
11位 ベルギー 1563億ドル(約15兆9144億円)
10位 香港 1847億ドル(約18兆8061億円)
9位 台湾 1879億ドル(約19兆1319億円)
8位 ルクセンブルグ 2250億ドル(約22兆5328億円)
7位 英国 2318億ドル(約23兆6081億円)
6位 スイス 2373億ドル(約24兆1618億円)
5位 ブラジル 2516億ドル(約25兆6179億円)
4位 ケイマン諸島 2694億ドル(約27兆4303億円)
3位 アイルランド 2706億ドル(約27兆5524億円)
2位 日本 1兆1147億ドル(約116兆7875億円)
1位 中国 1兆2440億ドル(約124兆6277億円)
(ZUU online 編集部)