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(写真=Thinkstock/Getty Images)

英国のEU離脱で急速にドル安/円高に進んだ為替相場は、ここにきて1ドル100円を瞬間的に突破する場面がありながらも、落ち着きを取り戻したと言っていい状況となっている。

ただこれで円高のトレンドが終わり、再び円安に向かうのだろうか? 年内に100円を割り込む場面はあるのか──。現在は小康状態にあるものの、いくつかの材料を検証すると、円高トレンドは変わらないと想定できる。

「ヘリマネ政策」への期待は残るが……

直近に円高に振らせた要因となったブレグジッドについては、“Brexitショック”と称される動きになったとは言え、これは当面、マーケットのリスク要因として大きくはないだろう。

離脱交渉は来年以降の話である上、実際に離脱しない余地も小さくないなど短期間で消化できる材料ではない。これは円高を加速させる要因となったが、今後の動向を予測するには、他の材料を検証する必要がある。

第一にみるべき材料は、日米の金融政策だろう。先の日銀金融政策決定会合において、ETF購入拡大を決定したが、それは市場が期待したものから程遠く、失望感を生じさせた。にもかかわらず、急速に円高が進まなかったのは、“期待”が残っているため。その期待とはヘリコプターマネー、いわゆるヘリマネ政策に日銀が踏み込むのではないか──というマーケットの観測だ。

ヘリマネは、財政出動を日銀の国債引き受け、永久国債の発行で実施するのが究極の施策で、政府は財源を心配しないで事業を積極的に行なえるというもの。折りしも、28兆円規模の経済対策が実施される方向とあって、それに呼応する形で日銀がヘリマネ政策を実施するとの観測が絶えないのである。

しかしながら、実現させるには、国内景気が明らかにリセッションに陥る、円高が急速に進むなど、説得力のある理由が必要であると思われ、現状ではハードルが高い。現状では、その“期待感”だけで円安に振らすのは難しく、相場のトレンドを変えるまでには至らないだろう。

米大統領選控えドル高是正の公算も

一方、イエレンFRB議長の「この数か月で利上げの環境が整ってきた」という発言により、遠のいたとみられていた米国の利上げは、9月にも実施するとの見方も出始めた。米国は現在、景気減速、インフレがリスク要因として混在している状況にあるが、相対的に景気減速リスクが後退するとなれば、利上げは十分考えられる。米利上げ観測も、最近の円高に歯止めをかけた要因と言えよう。

もっとも9月に米国が利上げに踏み切り、同時に日本がヘリマネ政策まで行かないまでも追加緩和に踏み切ったとしても、ドル高/円安に振れるのは一時的で、トレンドが大きく転換するとは思えない。それは、大統領選挙を控えているためだ。

クリントン、トランプ両候補による対立構図となった大統領選は、現時点でクリントン勝利の可能性が高い様子だが、万が一、トランプ勝利となった場合、世界的にマーケットが混乱し、ドル売りが加速することは想像に難くない。そうならずとも、いずれが勝利したとしても、新政権はドル高是正に動くと想定される。

さらに対米で言えば、日本の経常黒字が拡大したことも、円高圧力となることを忘れてはならないだろう。