侮れないファンドの手数料
NISAの様に投資額の上限が決められている範囲内で、リスク分散しながら投資するには、株や債権を丁度収まる投資額で買いそろえる手間がかかります。そんなとき、分散投資の運用を専門家に任せられるのが投資信託です。ただ、投資信託は購入時の手数料が1~3%程度かかり、保有している間の運用手数料として信託報酬が年間で0.5~2%程度掛かります。特に購入時の手数料は大きく、例えば手数料が3%であれば、基準価格50万円のファンドを買って51万5千円に増えたとしても、増加分の1万5千円は儲かったとは言えません。そこでこの手数料が不要なノーロードファンドが注目されています。但し、ノーロードファンドは信託報酬が高めに設定されている場合がありますので、長期保有を前提にしている場合は注意が必要です。
ノーロードファンドとは
前述しました通り、投資信託はファンドマネージャーが購入者に代わって分散投資を運営しますので、保有している間は信託報酬が毎年一定額かかります。この費用は、運用を代行させている以上、無くすことはできません。また、購入時にかかる手数料も、証券会社や銀行が投資家に対して説明や手数料に必要な窓口業務の費用ですからやはり必要とされてきました。しかし、全てウェブ上のサービスで手続きできるネット証券などでは、窓口業務による人件費がかからないため手数料がかかりません。この対面販売を行わないことで手数料が不要となった投資信託がノーロードファンドです。
この手数料は前述通り、せっかくのリターンを相殺してしまうほど大きいものです。例えば3%の手数料が引かれると言うことは、100万円投資した場合は既に3万円が証券会社などに支払われてしまい、残った97万円で投資している様なことになるのです。但し、ノーロードファンドとは呼びながら、販売会社によってはこれまでの投資信託より格安な僅かな手数料という意味で使用している場合もありますので、必ず手数料を確認するようにしましょう。
ノーロードファンドのメリット
まず投資信託自体のメリットを確認しておきます。投資信託のメリットは以下の4つが考えられます。
- 資産を分散してリスクを分散運用できる。
- プロのファンドマネージャーが運用するため、運用労力が不要。
- 直接情報を持っていない海外の株式などでの運用も可能。
- 少額から投資でき、積立もできる。
以上のメリットはノーロードファンドでも同じです。但し4つめの積立については、ノーロードファンドではメリットがさらに大きくなります。
通常の投資信託を例えば毎月5万円で積み立てた場合、手数料が3%であれば5年で9万円もの手数料が取られてしまいます。これではリターンがあったとしても、かなり目減りしてしまいますし、場合によっては損失が出やすくなります。従って、積立型を選ぶにしても、やはりノーロードファンドを選ぶことに大きなメリットがあります。また、もう一つのメリットとして資金の引き上げの容易さがあります。
ノーロードファンドは手数料が不要ですから、資金の引き上げが容易になるのです。例えば50万円で3%の手数料を引かれていた場合、1万5千円以上の儲けがでないと相殺されているため、身軽に資金を引き上げることが難しくなります。また3%の手数料で5年保有して売却した場合は1年当たりの手数料負担は0.6%ですが、1年で売却した場合は3%分がそのまま1年分の負担となり、リターンから削減されたことになってしまい引き上げに躊躇してしまいます。
以上の様に、非課税のNISAを利用していても、ノーロードファンドを選ばなければ、思わぬ損をしていることがありますので、注意が必要です。
ノーロードファンドの弱点を補う方法
以上の様に、メリットが多いノーロードファンドですが、デメリットもあります。それはまだまだ種類が少ないことです。そのため、ファンドとしては選べる範囲が限られていいます。特に新興国への投資信託がまだまだ少ない状況です。新興国とはこれから世界経済を牽引するかもしれない国々で、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国)や東欧、トルコ、南アフリカなどです。これらの新興国はリスクが高いとはいえ、今後高い値上がりが期待出来るため、販売会社はまだまだ手数料が高い投資信託(非ノーロードファンド)として販売しています(あるいは販売したがっています)。
これらがノーロードファンドでも取り扱われるようになれば、さらにノーロードファンドの魅力が増すはずです。この弱点を補うには、バランス型ファンドと呼ばれる投資信託を選ぶ方法があります。バランス型ファンドは値動きが異なる国内・国外の株式、債権、リートなどに分散投資する事で収益機会を拡大しながらリスクを分散し、中長期的な安定した成長を目的とする投資信託で、新興国向け投資も含まれています。
ノーロードファンドが主流になる
これまで見てきました通り、NISAの様に限られた予算をリスク分散させながらプロの運用に委ねることができるということで、投資信託の需要が高まるでしょう。その際、手数料による投資額の目減りを避けるために、ノーロードファンドの需要も同時に高まっていきます。そのことに合わせて各販売会社もノーロードファンドの数を増やしてきます。最近では、注目のインデックスである「JPX日経400」に連動したノーロードファンドも登場し始めました。これからNISAを利用される方は、まず、ノーロードファンドを検討してみても良いでしょう。