幸せな人生のために「必要な物」は何でしょうか?

2014年にカルチャー・コンビニエンス・クラブが実施したアンケート調査「幸せのために必要なものとは?」の結果は以下の通りです。

1位「収入」
2位「健康」
3位「精神的なゆとり」
4位「経済的なゆとり」
※複数回答

考え方は人それぞれですが、どれもうなずけますね。

では、もう少し掘り下げて考えてみましょう。
上記1位から4位を実現するためには、何が必要だと思いますか?

米国のハーバード大学では「幸せな人生」について70年以上にわたり追跡調査を行ってきました。その研究で明らかになったことがあります。

それはズバリ「良い人間関係」を築くことです。

今回は『ハーバード成人発達研究』から幸せな人生について考えてみましょう。

現在も継続している史上最長の研究

1938年にはじまった『ハーバード成人発達研究』は、当時10代の男性を2つのグループに分けて行われました。1つ目のグループはハーバード大学で当時2年生だった男性、2つ目のグループはボストンで極貧生活をしていた男性です。

当時10代の彼らにインタビューをして「健康診断」を受けてもらい、その後「追跡調査」を開始しました。

スタート時点での被験者は724人。現在約60人が健在で90代を迎えています。追跡調査はいまも続けられており、彼らの子供たち2000人も被験者として追加されています。まさに史上最長の研究です。

『ハーバード成人発達研究』で作成したデータは何万ページにも及びます。膨大な情報量ですが、そこにはひとり一人の人生が記録されており、実に興味深い教訓を得ることができます。

幸福な人生に必要なのは「良い人間関係」

ロバート・ウオールディンガー所長は『ハーバード成人発達研究』の4代目の責任者です。

ウオールディンガー氏は、まず次のように指摘します。

「健康で幸福な人生を送るのに必要なのは『富』や『名声』ではなく、『がむしゃらに働く』ことでもありません。『良い人間関係』を築くことです。それこそがもっとも大きな幸せの要因なのです」

彼は、周囲の人々とのつながりは「幸せな人生」を実現するうえで重要と指摘します。家族や友達と上手にコミュニケーションを図れる人ほど、健康で幸せになるといいます。

一方で「孤独」な人は長生きできないとも指摘します。『ハーバード成人発達研究』によると、コミュニケーションの苦手な人は「孤独」を甘んじて受け入れ、少しも幸せとはいえない生活を送り、中年以降は健康の衰えが急速に進み、脳の機能障害なども起こりやすく「孤独ではない人に比べて長生きできない」という傾向が明らかになりました。

つまり、良い人間関係を築くことが、健康はもちろんのこと、脳の機能も守ってくれるのです。それがひいては「人生の幸せ」をもたらすのでしょう。

次のページでは「人間関係と孤独」について、より掘り下げてみていきましょう。