「理論」で分析する「ファンダメンタル分析」
企業収益の拡大の様子を確認し、将来的な可能性を分析する手法をファンダメンタル分析と言い、株式投資には具体的に有効な理論や知識としての分析手法が存在する。この時点で、既に株式投資は、先の結果が見えない運任せのギャンブルとは違うことになる。
企業の収益の増加は、理論的に株価の動きに影響を及ぼすが、株価は収益の増減の影響だけで動くわけではない。市場の一部の投資家は、企業そのものを投資対象として分析するのではなく、株価の動きそのものを分析して、売買に臨んでいる。
こういった投資家は、儲かると思えば株を買い、損をすると思えば株を売る。この心理的な評価による売買も、確実に株価の動きに影響を及ぼす。つまり、株価とは、企業の収益の増減による理論的な評価の価値と、投資家の心理的な評価の価値が合わさって形成されている。それは、「株価=理論的評価価値+心理的評価価値」という式に集約できる。
「心的評価」を分析するのが「テクニカル分析」
投資家の心理評価を分析する手法としては、テクニカル分析がある。テクニカル分析とは、株価の動きを継時的なチャートと呼ばれるグラフで表し、その値動きの性質や特徴を分析することにより、将来的な投資に役立てようとする分析手法だ。
チャートには、投資家の心理評価だけでなく、企業の収益の理論的な評価も織り込まれているので、全ての投資家の思惑を総合して分析することが可能だ。また、テクニカル分析が合理的であるのは、過去検証と呼ばれる、過去の値動きにおける特定の投資戦略や戦術の数値的確認が可能なことだ。これは、株式市場が、理論的評価と心理的評価で、一定の傾向を繰り返しているから可能な検証であり、この点もギャンブルとは明らかに異なる。
株式投資で必要な「◯◯管理」の考え方
ここまで株式投資はギャンブルではないことを、様々な角度から理論的に解説してきた。このことは、世界一の株式投資家であるウォーレン・バフェット氏を始めとして、数多くの大成功を収めた投資家が存在し、今も生まれ続けている事実から明らかだ。
最後に、株式投資でファンダメンタル分析やテクニカル分析を駆使し、利益を上げ続けていくために絶対に必要な大原則を提案する。それは、「株式投資の成否のカギを握るのは資金管理だ」というものだ。資金管理とは、文字通り自分自身の投資資金を管理することであり、具体的には利益確定や損失確定、売買株数などを、より有利に、勝ちやすいように計画的に設計していくことだ、
残念ながら、日本の個人投資家には、この資金管理の概念と具体的な技術や実践が欠落しており、この現状も、結果として、株式投資がギャンブルに近いものになっている原因だ。
ギャンブルでは、お金がどのように増え、どのように減るかは分からない。しかし、株式投資においてそれではダメだ。計画的に損失に備え、その損失の先に資金が増えるような利益確定を行わなければならない。資金管理が成されていなければ、株式投資は徐々にギャンブルに近づいていくことを忘れないで欲しい。株式投資はギャンブルではない。
それは、上記に述べてきたように、株式投資を深く学んでいけば自ずと分かる。「株投資=ギャンブルだ」と言っている人は、自分の学びの浅さや無知をひけらかしている可能性があることを忘れず、1つずつ学び、理解を深めて欲しい。あなた自身が、株式投資はギャンブルではないという結論に至った時、あなたは株式投資で利益を上げ始めるだろう。
松下 誠(まつした まこと)
まこと投資スクール株式会社 代表取締役
2001年2月に株式投資と商品先物投資を開始。1年半で1,500万円の資金を失うも、諦めることなくトレードを学び、厳格な資金管理とトレードルールを作り上げた。直接指導した投資家は3万人以上に及ぶ。松下誠が運営する投資情報サイト「
インベスターズクリニック
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