他球団の優勝時はどのくらい?
過去の他球団のとの比較でみると、阪神タイガースが優勝を決めた2003年は1481億円、2005年は643億円、2014年の429億円(試算元・宮本関大名誉教授)、2007年の読売ジャイアンツ418億円(同日興コーディアル)、2005年千葉ロッテマリーンズ397億円(同ちばぎん総合研究所)、2006年中日ドラゴンズ220億円(同三菱UFJリサーチ&コンサルティング)などとなっている。
特に経済効果が桁違いに大きかった2003年の阪神タイガースの優勝は、長年Bクラスに低迷していた球団が18年ぶりに優勝に輝いたということもあり、ビジネスでも最高潮の盛り上がりを見せた。長年優勝から遠ざかったチームが活躍するのに加え、各球団が本拠地を置く地元の経済圏の規模も、その経済効果に影響を及ぼす。
経済効果の算出方法がそれぞれ異なるため、単純比較はできないが、首都圏を拠点とする千葉ロッテマリーンズの優勝経済効果は今回のカープ、中京圏を基盤とする中日ドラゴンズを上回る。一方、首都を中心として活動する読売ジャイアンツのケースでは、「常勝軍団」として優勝が珍しくなくため、その経済効果は阪神タイガースの優勝時を下回る。
瞬間最高視聴率は70%超え
広島東洋カープは地元を中心として、熱狂的なファンに支えられている球団の1つだ。その証拠に、今回優勝を決めた巨人戦はNHK総合で中継されたが、ビデオリサーチによると、広島地区では平均視聴率が60.3%、瞬間最高視聴率は71.0%と驚異的な数字をたたき出した。
地元のファンがいかに長年にわたり、歓喜の瞬間を待ちわびていたかを推し量ることができる。さらに、球団の取り組みも功を奏した。かつては、選手の年俸が相対的に低く、せっかく育て上げた一流選手をFA(フリーエージェント)で、高額年俸を提示した他球団に奪われたり、施設の面でも、広島市民球場の芝生がボロボロと揶揄されていたりと、地味で貧乏球団のイメージがまとわりついていた。
しかし、2009年にマツダスタジアムが新設されると、徐々にそのイメージ転換に成功。新球場は、球団職員がアメリカのメジャーリーグの球場を視察した経験を反映し、通常の座席のみならず、バーベキューテラスや掘りごたつ席などを配置して、楽しみながら野球観戦をできる空間に仕上げた。
また、2013年にクライマックスシリーズへの進出を契機に、若い女性ファン「カープ女子」が増加し、地元の広島のみならず、首都圏にもその現象が拡大していった。その裏には、関東在住のカープ女子を対象にした、新幹線を貸し切り観戦ツアーなど赤字覚悟の戦略が実を結び、ファン層の拡大に成功した。優勝の熱狂は広島のみならず、首都圏にも及び、銀座の広島アンテナショップ「TAU」には、優勝翌日に福袋を求めて約400人が列をなし、福袋を含む限定品が即日完売。通常は2500人ほどが来店する週末のアンテナショップに、約1.5倍となる3700人が足を運んだ。
今回紹介した経済効果の金額は、地元広島県を対象にしたもので、首都圏でのにぎわいを含めると、その効果はさらに押し上げられるだろう。また、今後のクライマックスシリーズでの活躍次第では、経済効果もより一層の飛躍が期待できそうだ。(ZUU online 編集部)
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