日本を代表する秋の味覚と言えば「サンマ」だ。高い栄養価があり、健康増進効果も期待されている。しかし近年ではこのサンマ漁業に変化が訪れている。

サンマ漁業を巡る3つの問題点

サンマの水揚げ量をみると、ここ10年程度で最も不漁だった年は2013年で、この年は15万トンにも満たなかった。最も多かった2008年には、約34万3000トンの水揚げ量があり半分以下になっているのだ。

なお2014年には22万4000トンまで回復しているが、それでもピーク時の約6割程度である。つまり、近年は水揚げ量が少ない傾向にあるのだ。

サンマ漁業には3つの問題点がある。

まず「海外漁船による乱獲」だ。中国漁船や台湾漁船によるサンマの乱獲は問題視されてから久しい。こうした海外漁船は公海にて稚魚の乱獲をしていると言う内容だ。その結果、サンマの絶対数が少なくなり、日本の漁獲量が減っているというである。

次に「国内漁業従事者の減少・高齢化」だ。いくらサンマが沢山いるとしても、漁業従事者が減ってしまっているのであれば、水揚げ量は減ってしまう。

そして「気候の変化」も問題である。地球温暖化等を原因として、海の環境が変わっているのだ。それともない日本の排他的経済水域(EEZ)内にサンマが回遊しなくなっているものだ。

問題点に対する日本の対策

日本ではサンマ漁獲量を管理するために漁業規制を設けている。これによって稚魚を育てて、サンマの漁獲量を維持するのである。

しかし実際問題としてはサンマの管理は難しい。なぜならサンマは日本の排他的経済水域内に産卵場がないからだ。日本単独での資源量の管理は難しいのだ。

日本は国際的にサンマの漁業規制を取り組むように調整をしているが、この効果がどれだけ不漁解消に寄与するかは分からない。

2016年のサンマ漁業を占う

日本のサンマ漁業は様々な問題を抱えている。しかし、それでも一般消費者からすれば「食べられるのかどうか」が一番気なるだろう。そこで2016年のサンマ漁業について「サンマ長期漁海況予報」を基に占う。ポイントとなるのは「来遊量」「魚体(大きさ)」「漁期・漁場」の3つだ。

まずサンマの「来遊量」だが、これは昨年と比べるとやや少なくなると予想されている。したがって、絶対数的には少なくなりそうだ。

「魚体(大きさ)」は昨年と同等で、1歳魚を中心として漁獲できると期待されている。市場には比較的大きいサンマ(27~28センチ程度)が出回ると予想されるだろう。

最後に「漁期・漁場」である。基本的には9月、10月以降の水揚げ量が多くなる。8月中は市場にはあまり出回らないと予想される。

このように2016年のサンマ漁業を予想できる。昨年よりも少なくなりそうで、この秋は割高なサンマを食べることになりそうだ。

今年のサンマ漁業について見てきた。近年はサンマの水揚げ量が減少傾向にある。これにはサンマ漁業が抱える問題がいくつかあるからだ。日本の対策がどのように効果を発揮するのか、また美味しいサンマが食べられるのか、今後も注目していきたい。(吉田昌弘、フリーライター)

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