「金融リテラシー」の高い徳島県

ただ、徳島県の「金融リテラシー」が高いことは注目に値する。金融広報中央委員会が2016年2月29日から3月17日にかけて、全国の18歳から79歳の個人2万5000人を対象に行った調査は、家計管理や生活設計に関する5つのクイズに正解した人の割合から、各都道府県の「金融リテラシー」を採点している。

例えば生活設計についての質問は、「一般に『人生の3大費用』といえば、何を指すでしょうか」といった、きわめて親しみやすいもので、「 一生涯の生活費、子の教育費、医療費」、「子の教育費、住宅購入費、老後の生活費」、「住宅購入費、医療費、親の介護費」、「わからない」の中から回答を選ぶ設定になっている。

正解は、「住宅費用」、「教育費用」、「老後費用」が「人生の3大費用」と言われていることを知っていた人ということになるのだが、全5問の正答率は全国平均の52.2%に対して徳島県は55.3%で、これは長野県に次いで堂々の第2位だった。

徳島県出身の実業家

実業界には徳島県出身の人物も多い。1982年に亡くなった原安三郎氏は、日本化薬 <4272> の会長や現セコム損害保険 <1271> である東洋火災海上保険の初代会長、政府税制調査会会長などを歴任し、日本財界の重鎮として活躍した。また、現大塚HD <4578> の大塚製薬創業者は、1970年に亡くなった大塚武三郎氏だった。

もちろんのこと、現役の実業家も少なくない。三和HD <5929> の主力事業会社である三和シヤッター工業の代表取締役執行役員社長を務める長野敏文氏や、英会話スクールイーオンの代表取締役である安藝清氏も、徳島県の出身だ。なおこれは余談だが、氏の長女はシンガーソングライターとして知られているアンジェラ・アキさんだ。

首都圏のベッドタウンでは「輩出率」が低い

一方社長の「輩出率」が低いのは、47位の埼玉県の0.26%、46位の千葉県の0.28%、45位の神奈川県の0.34%などで、首都圏のベッドタウンが顔をそろえる結果となっている。もう少し地域を広げて地区別に「輩出率」を見ても、四国は1.16%で6年連続のトップ。他方関東は0.49%で最下位だった。

過酷な通勤を経て都市部にある企業で活躍するビジネスマンに、地元の実業界を牽引するリーダーシップを求めるのには無理もあるだろうが、こうした結果を見る限り、「仕事の価値観」をもう一度見直してみることも必要なのかも知れない。(ZUU online 編集部)