投資って「いつから、何から始めたらいいの?」となってしまいがち。なかなか一歩を踏み出せない人も多いかもしれません。
でも、自分なりの運用法を身に着けた人が「実はね……」と失敗談を含めて話してくれたら身近になるかも? そんなセミナーが2016年8月3日、都内で開かれました。
講師は、この日が結成記念日。「ぱふーむ」のみなさんです!
「等身大の私たちの資産づくり」を語ります!
コモンズ投信 マーケティング部の3人。「3人組だからPerfume!」と名乗ったものの、周りの「えー」という視線に耐えられず「ぱふーむ」と命名したとか。金融機関でバリバリっと働く女性には見えない、ふんわりゆるやかな雰囲気ですね。
「セミナーなどで、私個人がこうやっている、という話をすると、お客様は『それを聞けてよかった』っておっしゃるんです。『等身大の私たちの資産づくり』をお話しする場を設けてみたら、その一歩を軽々と踏み出せる人を増やせるのではないかと思って」。3人を代表して、みぽりんが開催の理由を語ってくれました。
仕事盛り、女盛りの3人。どんな話が飛び出したのでしょう?
なぜか買った「ブラジル」「リラ建て」投信
「投資はストレスだったし、絶対向いていないと思っていた!」と振り返るゆーこさんは、テレビ番組制作出身。夫もテレビマンで、現在は17歳、14歳の男子のママです。子育て中は、専業主婦だったこともあります。
投資をはじめたきっかけは、出産を機に「お前も母親になったのだから、投資の一つでもしてみなさい」とお父さんにすすめられたからでした。もちろん当時は、金融知識なんて全くありません。
「で、なぜか、窓口ですすめられるままに『ブラジルなんとか』を一括で買っちゃって。毎月分配金がもらえるから主婦におすすめ、とか言われたんだけど、売るタイミングもよくわからず、リーマンショックもあったりして、結局あまり殖やすことができなくて。後から、手数料も案外高かったんだなあと気づく結末……」(ゆーこさん)
「ブラジルなんとか」のようなテーマ型の投資信託は、いわば「はやりもの」。今でいうとAIとかロボットとかでしょうか。価格変動も激しくなりがちなので、初心者にはちょっと扱いが難しいですよね。
ブラジルなんとかの次はトルコのリラ建ての商品を勧められ…
ここでみぽりんが、ゆーこさんに尋ねました。「証券会社の人に、価格が下がったら嫌って言った?」
ゆーこさんは、「うん。で、日本株に投資しましょうとなったんだけど、なぜかトルコのリラ建ての商品を勧められて、買っちゃった」(会場、爆笑!)
いろいろ質問して、担当者も丁寧に説明してくれたそうです。「でも実は、内容はさっぱりわからなかった……。だから値段が上がってもドキドキするばかりで、持っていても、ちっとも気持ちよくなかった」と、ゆーこさん。
「姉が金融機関勤めなんだけど、うちは姉妹でも、お金の話ってあまりしなかったのね。でもこの話をしたら『なに買ったかわかっているの?』『わからない』『わからないものは買ってはいけません』って怒られた。これがスタートなの」(ゆーこさん)
金融商品の説明を聞いていて、あまりにも理解できないと「わからないのは自分だけかも」「プロが勧めるなら」って弱気になりがちですよね。
でも決してそんなことはありません。ゆーこさんのお姉さんの言葉のように「わからないものは買ってはいけない」が正解なんです。
結果、落ち着いたのはコツコツ型の「投信積み立て」
ゆーこさんは、専業主婦の時代を経てコモンズ投信に就職し、最初はコールセンターに配属されました。「コモンズは積み立てで買っていくことをおすすめしていたので、人に説明するには自分もやってみなきゃ~と思って、積み立てをはじめたの。当時はリーマンショック直後。そのとき積み立てをはじめたお客さんの基準価格は、今、倍になっています」
積み立てとは、1万円なら1万円を、毎月同じ金融商品に投資していく方法。相場は変動しますので、一気に大きな金額のお金を投資してしまうことに比べて、リスク分散の効果も期待できます。
「時期は誰にも選べないけれど、相場がいいときも悪いときも、同じペースでコツコツ積み立てる、それが結果的にいちばんいい」という結論にたどり着き、ゆーこさんは現在も実践中です。
150万円の出資金が15万円で戻ってきた(泣)
「DINKSを満喫中!」と紹介されたレイチェルは、日本企業、外資系企業の金融システム会社を転々とし、アルゴリズムトレーディングなどを手掛けてきました。
「投資ではそんなに失敗していないんだけど、知り合いの会社に150万円出資したら、15万円になって戻ってきたことがあった」と爆弾発言。「それはじめて聞いた~」と、ゆーこさん、みぽりんの2人も知らなかったエピソードのようです。
「でも、それって返ってくるお金だと思っていた?」と、おずおずと聞く2人。「うん、10倍になると思っていたんだけど……」というレイチェルの言葉に、会場はまたもや大爆笑です。
どんな結果でも、投資は自己責任です。レイチェルは「その人とは『一緒に勉強したね~』という感じで、べつに恨むんではいません。でも『夢だけじゃ食えないんだな』って実感した、いい経験でした」と語ってくれました。
積み立ては、途中でやめるともったいない
証券会社で、金融教育を手掛けていた経験もある、みぽりんは、小学校3年生、1年生、3歳の子どものママ。金融の基礎知識は、会社員生活で身に着けていました。
でも、今振り返って「失敗だった」と思うのは、積み立て投資を途中でやめてしまったことです。
みぽりんは、会社の給与天引きで、毎月一定の金額ずつ積み立てる形で、個別株を買っていました。2007年当時、日経平均株価の最高値は1万8000円くらい。リーマンショック前のピークの時期です。
「産休で給与が入らないので、積み立ては中止に。でも手続きが面倒で、なかなか再開しなかったんです。その間にリーマンショックが起きました。長期投資の目線で見れば、株価が暴落したときは、買いのチャンスだったのに、逃してしまって」と、みぽりん。
長期投資、積み立て投資のコツを聞かれたときは「投資額には増減があってもいいけど、ぜひ続けてくださいね」とアドバイスしているそうです。
結論は「いつから」「なにから」はじめてもいい
後半はアルコールも解禁となり、おしゃれなBGMまで流れて、よりリラックスムードに。ところで会場のみなさんは、なぜこのセミナーに足を運んだのでしょう。
30代の会社員女性は「投資をはじめたくて、まず東証のセミナーに行きました。その後、気になるセミナーのキーワードつながりでこのセミナーを知りました」とのこと。
「投資をしたことがない人!」「セミナーがはじめてという人!」ぱふーむからの問いかけに、たくさんの手が挙がりました。「社会人になって、自分のお金管理をきちんと身に着けたいから来てみました」という人も。
ここで、株式投資をはじめ投資にどっぷり浸かりこんでいる筆者が激しく共感したのは「勉強することはすごくいいこと。でも勉強しすぎると、結局なにがいいかわからなくなって、投資ができなくなってしまう」という、ぱふーむからの指摘です。
「スポーツをはじめるとき、ルール、戦術をぜんぶ知って始める人は珍しいですよね。近所のスポーツジムに行ってみる、といった身近なところが取りかかりです。投資ってそれでいいんです。結論をいうと『いつから』『なにから』はじめてもいいんです」(みぽりん)
なんのためにお金を貯めたいの?
ところで、ぱふーむの3人は、お金を貯めてなにがしたいのでしょう?
「夫は50歳。生涯収入も見えてきた今、将来は海の見える平屋の家に住みたいなって思っています。投資をして『お金が働いてくれている』って、なかなか教わってこなかったことだけど、お金に働いてもらう方法を考えて、夢をかなえられればいいな」と、40代のゆーこさんは語ります。
30代DINKSのレイチェルは「今まで、夫とはお互いの年収も知らず、週に5日は外食してしまうような生活。でもそれをあらためて、将来の転売も見据えて都内にマンションを買いました。今は、月に4万円ずつ、コモンズほか独立系ファンドに分散して積み立て投資をしていますが、私は100歳まで生きたいなって思っていますので(笑)そのための準備をしなきゃ」と、積み立ての増額や、確定拠出年金の開始も考えているようです。
「30代後半になり、老後はまだ先だけど、投資への取り組み方が変わってきた」と話すのはみぽりん。「私は月に7万円、レイチェルと同じように分散して投資しています。給与から先取りで貯めていますが、そうするぞって思うと、意外にできちゃうもの。余ったお金じゃなくて、先取りがポイントですよ」
「お金=悪」ではない! たくさん稼いで、世の中に還元しよう
さらに、みぽりんは「夢というと、思い出すことがあります」と切り出します。「証券会社の仕事は、ノルマ重視になったり、逆に、自分のしていることの意味を考えてしまったりで、夢の持ち方が難しいんです。そんなとき、当時の上司の紹介である女性に会ったのですが、その女性はなんと『私は、20億寄付するのが夢』と言うんです」
みぽりんは、「きっと上司は、『お金を稼ぐのは悪ではない。稼いだら世の中に還元すればいい』と伝えたかったのではないか」と振り返ります。
たくさん稼ぐ、投資でお金自身にも働いてもらう。自分や家族の将来のために、さらに世の中のためにも役立ててみる。お金は社会を動かす力にもなる……。
楽しいトークから「そうそう、投資ってこんな感じ」という、ふわっとした共感が得られたこのセミナー。最新情報では好評につき、秋に第2回の開催も予定されているとか。(次回のセミナーに興味のある方は こちら から)
ちなみに、既述のように内容、客層ともに「ゆるっ、ふわっ」とした雰囲気で、いわゆる「投資セミナー」とはちょっと違いますのでご了承を。筆者はぜひ、次回も参加しようと思っています。
阿部祐子(あべゆうこ)
出版社勤務(雑誌編集者)を経てフリーに。2009年CFP資格取得。社会、金融、ビジネス系記事、やさしい言葉を使ったファイナンス系の読み物などを手掛けています。
(提供: DAILY ANDS )
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