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©大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

映画「聲の形」(山田尚子監督、京都アニメーション制作、映画聲の形製作委員会)が人気を集めている。「聲の形(こえのかたち)」とは、大今良時氏による漫画作品を原作としたアニメ映画だ。原作は読み切りで発表され、大きな反響があり2013年から14年にかけて週刊少年マガジン(講談社)で連載された人気作品で、第19回手塚治虫文化賞新生賞など数々の賞を受賞している。連載終了後も注目を集め続けていた作品が、2016年9月にアニメ映画となり公開されヒットしている。

ガキ大将の主人公・将也が先天性の聴覚障害を持つ硝子と出会い、子供じみたいじわるをして疎遠になるのだが、将也はそのことを後悔してこっそり手話を学ぶ。「聴覚障害」「いじめ」「親子関係」「人間関係」などをテーマにしたシリアス作品になっている。

最近、この映画のヒットもあってあらためて「手話」に注目が集まっている。

ビジネスパーソンと「手話」

ビジネスパーソンが「手話」を身につけるにはどのような理由があるのだろうか。その理由の一番にくるものは、全国に約36万人いると言われている聴覚障害者とのコミュニケーションをとるためだ。

普段の生活を振り返ってみると、手話を目にする機会は少ないと思わないだろうか。テレビで手話通訳がつく番組はとても少ない。多くの健聴者が手話と関わる機会がないということは、聴覚障害者の生活環境が窮屈なものであるということかもしれない。聴覚障害に限らず、誰もが働きやすい・暮らしやすい環境づくりは社会の優先課題だ。企業の中にもそう考えて、積極的に取り組んでいるところが少なくない。

手話を学ぶ企業 スタートトゥデイの「人自部」

「手話」を身につけようとしている企業の一つに、大手ファッションショッピングサイトZOZOTOWN(ゾゾタウン)を運営する「スタートトゥデイ」がある。

スタートトゥデイは6時間労働を実施している企業で時間短縮を求められており、朝礼は廃止されている。そんな中、人事を担当する「人自部」(人事部ではない)では朝礼を続けており、各自の報告は最小限にとどめ、朝礼として確保している時間で「手話」を学んでいる。

スタートトゥデイの人自部が「手話」を学ぶのには、聴覚障害を持つ人と一緒に働く機会が増えているからという背景がある。人自部は障害者の採用面接にも立ち会う。自らが手話をマスターできていれば、手話通訳や筆談に頼らなくとも、本人の気持ちを直接聞くことができ、採用の大きな判断材料を得ることができる。

朝礼の時間を利用し、毎日1フレーズの手話を覚えているという。スタートトゥデイの例を聞くと、企業の人事に関わるビジネスパーソンは手話を覚えておいて損はない。人としてはもちろん、ビジネスパーソンとしてスキルアップに繋がるだろう。

手話を広める企業ShuR(シュアール)の取り組み

また「手話」にまつわる事業を展開している企業がある。「ShuR(シュアール)」は手話サービスとITを融合させ、聴覚障害者と健聴者の社会における差をなくそうとしている企業だ。

シュアールはビデオチャット機能を利用した遠隔手話通訳サービスを生み出しており、そのサービスは障害者にも、雇用する企業などにもうれしい内容となっている。利用は無料だが有料契約で端末を設置する箇所(ホテルや行政窓口など)があり、ビジネスとして成立している。

シュアールではウィキペディア型のウェブを活用した手話辞典「Slinto(スリント)」というサービスも行っている。利用者と登録される手話数が増えればビジネスにも繋がるという。シュアールのサービスはこれから伸びていくビジネスだと言える。このようなビジネスを成功させるにも、サービスに関わるビジネスパーソンは「手話」を身につけることで、よりサービスの信頼性が高まることだろう。

「手話」を学ぶにはどうすればいい?

注目を集めている「手話」を学ぼうとした時、何か特別な講習が必要なのかと考える人もいるだろう。「聲の形」に出てくるように手話サークルなど人を集めて学ぶ機会もあるが、「手話」は本やインターネット、動画で自習することが可能だ。普段「手話」に関わることが少ない反面、情報社会である現代は自ら検索をすれば「手話」に関わるサイトにすぐに行き着くことができる。もちろん、単語の数は膨大だ。「手話」を覚えるには、普段よく使う言葉から覚え始めるといいだろう。そして付随する言葉を覚えていくと身につけやすいはずだ。

実は「手話」が法律上「言語」と規定されたのは2011年と日が浅い。こうした背景も「手話」が浸透しなかった原因だったのかもしれない。また、手話は世界共通ではないことを覚えておかなければならない、もっと狭い地域で見るのならば日本国内でも東日本と西日本で異なる手話単語があるのだ。先に伝えたシュアールの手話辞典サービスが今後、世界の手話統一につながることを願わずにはいられない。(ZUU online 編集部)

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