アジア,新興国,東南アジア,インド,経済見通し
(写真=PIXTA)

要旨

東南アジア5カ国およびインド経済は、緩やかな回復の動きが見られる。景気の牽引役となったのは民間消費だ。低インフレの継続と安定した雇用・所得環境による家計の実質所得の増加、そして政府の景気刺激策と緩和的な金融政策も追い風に民間消費は堅調に推移している。また輸出は底打ちしつつあるものの、世界経済の先行き不透明感から民間投資の低迷は続いており、自律的回復の動きは見られない。

先行きの消費者物価上昇率はエネルギー価格下落による物価押下げ効果の剥落と緩やかな通貨安が進むなかで上昇傾向が続くと見ているが、農業生産が回復して食料インフレが和らぐことから物価の上昇ペースは緩やかなものとなるだろう。

先行きの金融政策はインドとマレーシアでは年内の利下げを見込むが、総じて物価は緩やかな上昇が見込まれること、また通貨が軟調に推移することから、各国中銀は現行の緩和的な金融政策を維持するも追加緩和には慎重になるだろう。

経済の先行きは、16年後半は引き続き個人消費主導で成長率が小幅に上昇し、17年は輸出の緩やかな拡大と投資の持ち直しを見込むものの、物価上昇によって個人消費が鈍化して成長率が横ばい圏で推移すると予想する。

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