金融専門家3000人が選ぶ「世界の一流投資銀行 権威編(Vault Most Prestigious Banking Firms)」。最新版(2017年)で見事1位に輝いたのは、2008年から連続で首位を維持しているゴールドマン・サックスだ。
今年はゴールドマンの当たりのようで、労働環境に重点を置いた「世界の一流投資銀行ランキング」でも首位を勝ち取るという快挙を成し遂げている。
2位のモルガン・スタンレー、3位のJPモルガンとともに、トップ3は昨年から変動なし。全体的に大きな動きもなく、昨年とまったく同じ順位という企業も多い。
圏外から入ったのは、センタービュー・パートナーズとモーリス・アンド・カンパニーの2社のみ。
米リクルート会社、Vaultによる今回の調査では、金融産業のトップ85社の専門家が各企業を10点満点で評価。現在あるいは過去の勤務先を評価することは認められていないため、公平な結果が反映されているといえるだろう。
過去のランキング同様、国際的に知名度の高い大手が圧勝しているが、銀行のFinTech化の波にのり、デジタル改革に熱心な企業を評価する回答も増えているのが特徴だ。
10位 モーリス・アンド・カンパニー(6.074ポイント)昨年13位
設立2007年。本社をニューヨークに置く、企業専門のアドバイザリー業務を中心とする投資銀行。
経済誌『Euromoney』を含む数々の金融関連賞を受賞しているだけに、中間市場の取引を得意とする点、優秀な従業員をそろえているという点などで高評価を得ている。
9位 グリーンヒル・アンド・カンパニー(6.141ポイント)昨年9位
ニューヨークを拠点に世界14カ国でアドバイザリー業務を展開する、設立20年のブティック型投資銀行。
M&Aアドバイザリー事業の質の高さで知られるが、一部の専門家からは「ここ数年で質が低下した」との批判も。
8位 バンク・オブ・アメリカ(6.190ポイント)昨年8位
142年の歴史を持つ「米国を代表する銀行」。2004年にフリートボストン・ファイナンス、2009年にはメリルリンチと、数々の買収を繰り返し米国最大規模の民間金融機関にのしあがった。
大手ならではの信頼感が強みとなっている反面、「巨大化しすぎて機能しきてれていない」との手厳しい指摘もある。
7位 クレディ・スイス(6.269ポイント)昨年7位
世界屈指の金融機関のひとつとして挙げられることが多い、スイスの投資銀行。民間銀行業務から投資、資産管理までを総合的に扱っている。設立は1856年。
「伝説の銀行」「文句なしの業績」と敬意を示す専門家も多いが、「得意分野はM&Aだけ」「テクノロジー革命の要となる優秀なシニアバンカーを、ライバル企業に引き抜かれた」など、評価は真っ二つにわかれるようだ。
6位 センタービュー・パートナーズ(6.527ポイント)昨年11位
2006年にニューヨークで設立された、M&Aや企業再生を主要業務とするブティック型投資銀行。
UBS(スイス)のブレア・エフロン副会長と、ワッサースタイン・ペレラ(米)の元CEO、ロバート・プリュザン氏が共同設立者だけに、「凄腕のシニアバンカーがそろっている」とトップ従業員の質の高さで一目置かれている。
5位 エバーコア(6.856ポイント)昨年6位
ブラックストーン(米)と著名米投資銀行家、ロジャー・アルトマン氏による独立系投資銀行。1995年、ニューヨークで設立された。
M&Aアドバイザリー業務では定評がある反面、「期待はずれ」「実際の取引経験からいえば、評判ほどではない」と、ネガティブな声も聞かれる。
4位 ラザード(6.936ポイント)昨年5位
1848年、ニューオリンズで設立された当初は乾物業だったという変わり種銀行。アドバイザリーと資産管理を中心に、企業から政府まで幅広い顧客層を対象にしたサービスを提供している。
M&Aブティック型銀行として高評価を得ており企業組織再編なども得意とするが、「頭の堅いシニアバンカーが玉にキズ」のようだ。
3位 JPモルガン(7.990ポイント)昨年3位
1799年の設立以来、資産管理から投資銀行業務まで、国際的なスケールで手掛ける総合金融大手。
優良銀行としての専門家からの尊敬を集めているが、「分析ではなくバランスシートに頼りすぎ」という指摘から、「銀行というよりは融資会社。過大評価されている」などの酷評も聞かれる。
2位 モルガン・スタンレー(8.093ポイント)昨年2位
機関投資家向け証券・資産管理・資産運用を支柱に、多岐にわたる分野で活躍する国際大手投資銀行。1935年にニューヨークで設立された。
「伝統を重んじる一流の投資銀行」という評判と同時に、「テクノロジー投資に熱心」な時代の流れにいち早く対応する姿勢が卓越していると好感を集めている。
1位 ゴールドマン・サックス(8.866ポイント)昨年1位
JPモルガン、モルガン・スタンレーと並び、国際的な視野から金融産業を先導してきた世界屈指の投資銀行。
今年上半期は海外・国内ともにM&A取引No.1の記録を打ちだすなど絶好調で、M&Aの権威とされているが、「取引がやりにくい、融通性に欠ける銀行」「やり方が古い」といった難点もあるようだ。(ZUU online編集部)