慶應
(写真=PIXTA)

さまざまな業種、業界で活躍している慶應卒の企業トップたち。金融業界にも多くの社長、会長(経験者)がいる。今回は、金融業界で慶応大学出身の著名な社長10人を紹介する。

宮原幸一郎氏(東京証券取引所、法学部)

1979年に法学部政治学科を卒業し、電源開発を経て、1988年に東京証券取引所に入所した。性格は冷静で、市場に対して優れたバランス感覚があると、周囲からは高く評価されている。

入所後は総務部長、常務執行役員となり、2015年には日本の株式市場を支える主要人物として社長に選ばれた。証券取引所の長として、その才能をいかんなく発揮している。

持田昌典氏(ゴールドマン・サックス証券、経済学部)

経済学部を卒業し、第一勧業銀行に入行した。社内MBA制度を利用してペンシルベニア大学に留学後、1985年から「最強外資」ゴールドマン・サックスに入社している。

投資銀行部門で優れた金融センスを発揮し、2001年より同社の日本法人の代表取締役社長に任命されている。また本社経営委員会にも所属している。

若い頃には英語を必死に勉強したことを明かしており、センスや才能だけではなく、努力で自分の地位を確立した人物だと言えるだろう。

柴田拓美氏(日興アセットマネジメント、経済学部)

1976年に経済学部を卒業して、野村證券に入社。ハーバード・ビジネス・スクールを卒業しており、その後は野村證券一筋で取締役まで上り詰めた。

2013年からは日興アセットマネジメントの会長に就任し、翌年1月には社長も兼任し始めた。その後、4月からは同社のCEOにも任命されている。

自身はビジネスパーソンとしての時間の半分を海外で過ごしており、これらかの同社のグローバル化に貢献できることが期待されている。

鈴木茂晴氏(大和証券グループ本社、経済学部)

1971年に経済学部を卒業し、そのまま大和証券に入社した。大和グループ一本の人生を歩んでおり、2004年からは大和証券グループ本社社長に就任した。そして2011年には代表取締役会長に任命されている。

大和証券グループの改革を指揮しており、同社の労働環境改善に努めている。こうした考えは一つの企業を渡り歩いた鈴木氏だからこそ取り組める施策と言えるだろう。

北尾吉孝氏(SBIホールディングス、経済学部)

1974年に経済学部を卒業したのち、野村證券に入社した。入社後は伝説の証券マンとまで呼ばれ、証券業界では一目置かれた存在となる。

1995年、ソフトバンクの孫正義氏にスカウトを受け、同社の常務に就任。その後、1999年にソフトバンク・インベストメント株式会社の社長になる。これが現SBIホールディングスだ。

事業家としてのビジネス感覚、投資家としての優れた手腕を併せ持ち、次世代のベンチャー企業の発掘に力を注いでいる。

斎藤聖美氏(ジェイ・ボンド東短証券、経済学部)

斎藤氏は経済学部を卒業した女性企業家である。大学卒業後は日経新聞、ソニーを経て、留学。MBA取得した後、モルガン・スタンレーに入社した。

2000年にジェイ・ボンド東短証券を設立して、社長に就いている。優れた経営手腕を有しており、数々の起業に力を貸していた。なお、現在は女子バスケ界の改革にも力を入れている。

森章(森トラスト、経済学部)

1960年に経済学部を卒業し、安田信託銀行に入行した。その後1972年に父・森泰吉郎氏の森ビルへと転職、1993年から森トラストの社長に就任する。

その後2016年まで社長の座にいたが、娘にその席を譲り、自身は会長職に就任している。大型複合施設やリゾート開発に力を入れており、不動産界のトップに君臨した人物である。

那珂通雅(ストームハーバー証券、理工学部)

理工学部卒業後、同大学院工学修士を取得している。ソロモン・ブラザーズアジア証券に入社、日興ソロモン・スミスバーニーやシティグループ証券を経て、ストームハーバー証券を設立した。

同社では金融危機の教訓を受け、顧客に誠実な商品を提言することをモットーとしてビジネスを展開している。実業家として類まれない才能を発揮し、4年で収益の安定化を図った。その後、2014年に渡辺佳史氏に社長を委ね、自身は会長職に退いている。

ここからは相談役を2人紹介する。

樋口公啓氏(東京海上日動火災保険、経済学部)

1960年に経済学部を卒業し、その後は東京海上火災保険に入社している。同社一筋で確実に実績を重ね、1996年には社長に、2001年には会長、2003年からは相談役に就いている。

損害保険協会会長として損害保険の普及を努め、また経団連副会長等も歴任しており、日本の経済界を支えた人物だと言える。自身は真面目な一方で新商品の開発にも力を入れてきた。

沖原隆宗氏(三菱東京UFJ銀行、経済学部)

1974年に経済学部を卒業し、三和銀行に入行した。同執行役員を経てからUFJ銀行の執行役・頭取を経て、三菱東京UFJ銀行の会長職についた。

苦しいUFJ銀行時代を経ているが、何度となくその苦難を乗り越えてきた銀行家だ。現在は三菱東京UFJ銀行の特別顧問に就任し、政財界のために力を注いでいる。

このほかにも多くの企業トップを輩出している慶應大学。読者の出身大学にも、いろいろな業界、業種で社長、会長にまで上り詰めた先輩や後輩、同期がいるのではないだろうか。確認して励みにしてはいかがだろうか。(吉田昌弘、ライター)