英政府機関、科学技術委員会(Science and Technology Committee)は従来型の学校教育が時代錯誤であるとし、「人間がAI(人工知能)より秀逸している分野に重点を置くべき」という新たな教育方針を打ちだした。
第4産業革命期に突入したといわれる近年、将来的に知識のもち腐れとなりかねない科目は排除し、コンピューター技術、特にAIに力をいれることが、労働市場の著しい変化をもたらすと科学技術委員会は推測している。
不要な知識の蓄積ではなく、ロボットとの共存を学ぶ教育に
ICT教育に熱心な英国では、早い段階から義務教育にICTのカリキュラムを組みこんできた。小学校低学年は勿論、タブレットなどの端末を児童に与える保育園も増えている。
しかし科学技術委員会が発表したレポートによると、テクノロジーの進化速度と比較した場合、このままでは将来的に大きな遅れが生じるという。ICT教育のレベルをさらに引きあげない限り、人間がロボットの進化について行けなくなる日が、やがて訪れると懸念している。
保守党で下院議員も務めるタニア・マティアス委員長は、「人間のユニークさを高める教育」をほどこす一環として、コンピューターの一歩先を目指すことを念頭に置いた教育カリキュラムに切り替えるよう提案。
AI分野の専門家として名高いユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのローズ・ルッキン教授も、「将来的には問題を解決する力と創造性が最も重要な資産となる」と、このレポートで示された懸念に同意している。
ロボット対人間の戦争を描いた映画「ターミネーター」を、単なる空想の世界として片付けてしまうのにはためらいを感じるほど、人間の生活はテクノロジーによって変化を遂げた。ロボット戦争が現実の世界とならないように、人間は賢くロボットと共存していくべきという意見は正論だろう。
新カリキュラムが導入された場合、「ロボットとの共存」をテーマに児童にAIの基礎を教え、共存性に重点を置いた技術習得が促進される予定だ。長期的に必要とされる分野を伸ばし、学生時代にしか使わないような知識は最低限に抑えるという効率的な戦略だ。
マティアス委員長を含む複数の専門家が、10年、20年先には雇用形態自体が様変わりしている可能性についても述べている。金融や医療といった分野の雇用縮小が、ロボットの進出によって今後さらに加速するだろう。
長い目で子供たちの将来を考えると、残念ながら現在の教育カリキュラムはまったくの時代遅れということだ。それは英国だけではなく、世界各国に該当するのではないだろうか。( FinTech online編集部 )
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