個人事業主やフリーランスとして活動するのであれば、節税対策は必須と言えるだろう。小売や卸売、飲食業であれば原価は明確で経費の算出は容易である。それに対し、インターネットビジネス等を行っている場合、経費の算出は容易ではない。ビジネスを更に拡大するためにも、税金の仕組みを抑えておくべきだ。
知っておきたい節税ポイントとは?
「節税」とは支払う税金を節約すること、つまり税金のかかる課税所得を減らすことに他ならない。当然国民には納税の義務があるため、支払うべき税金を支払わない、ということではない。あくまで合法的に所得控除や非課税制度を活用し、支払う税金を減らす対策をすることである。
一般的に税金と呼ばれるのは「所得税」と「住民税」である。サラリーマンを経験した方であれば、給与明細の天引き額でこの2つを見たことがあるだろう。サラリーマンは月割、給与天引きで納税を行うが、個人事業主は確定申告時に一括で納付を行う必要がある。
税金の仕組みを知る
課税所得とは、年間の売り上げから経費や各種控除を差し引いた後に残った利益である。この課税所得に対して所定の税率を掛けた金額が、納税額となる。例えば、課税所得が700万円であれば、所得税率は23%(控除額63万6千円)となる。住民税は市区町村によって差異があるが、約10%となり、税額は約160万円と計算できる。
節税の方法は、「経費の拡大」と「控除の拡大」の2つに分けられる。経費に算入できるものは全て算入し、経費を拡大する。控除を利用できるものは全て利用し、控除を拡大する。この2点によって課税所得を減らすことが節税につながる。
個人が節税するための具体的な方法
個人が節税するための具体的方法を紹介する。
青色申告の活用
確定申告には「白色申告」と「青色申告」という2種類の申告方法がある。青色申告とは、複式簿記方法によって毎日の取引きを帳簿管理し、申告を行う方法である。白色申告に比べ帳簿作成に知識が必要かつ手間がかかるが、以下のメリットが生まれる。
①所得控除
複式簿記なら65万円、簡易簿記なら10万円の所得控除が受けられる。
②赤字の3年間繰り越し
今年度発生した赤字額を3年間繰り越すことが可能となる。そのため、翌年度利益が出たとしても、今年度の赤字を繰り越した結果赤字になれば、税金が発生せず節税効果が得られる。
④専従者給与
家族を従業員として雇っている場合、給与を全額経費に算入することが可能となる。白色申告の場合は配偶者86万円、他の親族は1人当たり50万円と決まっているため、それより多く給与を支払っているのであれば、より高い節税効果が望める。
青色申告を自力で行う自信が無いのであれば、税理士や公認会計士に依頼することをおすすめする。依頼料より節税額が大きければ、メリットの方が大きくなるからである。
経費算入できる費用を探す
最も即効性のある節税方法は、経費の額を増やすことである。経費とは事業のために必要な費用であり、合理性があることが条件となる。明確な基準は決まっておらず、あえて決めるのであれば「税務調査が来た場合に合理性を説明できるか」ということである。
合理性のある経費としては、事業用車の自動車税や車検代、駐車場代、通信費(携帯電話・固定電話等)、家賃、光熱費、水道代、ガス代、損害保険料、インターネットの利用料金が挙げられる。
ただし、自宅兼事務所の場合など、これらの経費がプライベート使用されている場合は、使用割合を算出したうえで案分が必要である。自宅のうち事務所として利用している面積が30%であれば、家賃の30%を経費として算入できるといった計算となる。
ふるさと納税の活用
ふるさと納税とは日本の各自治体が行っている寄付金制度である。各自治体に寄付した金額に応じて、その土地の特産物などが送られてくる見返りがあることから、近年利用者が増えている制度である。ふるさと納税で寄付した金額は、「寄付した金額 - 2000円」が所得税の所得控除と住民税の税額控除に充てることが可能だ。
例えば5万2千円分のふるさと納税を行えば、所得税の課税所得額から5万円を差し引くことが可能である。所得税率が20%とすれば5万円×20%=1万円の節税だ。住民税では5万円の税額控除を行え、所得税と住民税合わせて6万円の節税という結果となる。
ふるさと納税を行った見返りとして地元の特産物を得られるため、ただ税金を支払う場合よりも得となる。得た特産物はプライベートで利用しても構わないため、米などを貰えば食費を節約できることができる。
節税時に注意すること
個人事業主の節税方法として「青色申告の活用」「経費算入」「ふるさと納税」の3点を紹介した。いずれの節税方法も合理性があるかを常に意識して行う必要がある。税務調査が入り申告漏れや不正が発覚すれば、遡って不足額を納付することになりかねない。
どこまでが節税なのか基準を持てない、税務調査対策ができていないうちは、税理士や公認会計士に相談することをおすすめする。