遺言信託のメリット

遺言内容に関する相談、定期的な見直しなどは弁護士や司法書士などもしてくれます。 また、税務的な相談は税理士が受けてくれます。 遺言信託ならではのメリットとは?と言えば信託銀行は金融、資金運用のプロ集団だという事です。 相続が発生するまでの期間が長くなれば、資産をいかに有利な状態で保全するかが大きな課題になります。

信託銀行なら、金融機関としての知識と機能を駆使して資産を有利に保全できます。 金融資産、特に国外金融資産が多い場合には、国際的な法律や金融の専門知識を持っている部署が常設されている信託銀行は非常に頼りになります。 信託銀行は比較的規模の大きな法人になるので長期的にサポートを受けられます。 また、相続は往々にして相続人同士で紛争が起きますが、信託銀行は相続人と個人的な利害関係が発生しにくいので遺言執行を迅速に進めやすいのです。


遺言信託のデメリット

信託銀行は遺産相続に関する手続きはできますが、身分や祭祀に関する手続きはできません。 遺言書に子供の認知に関わる事や後見人に関する事、また相続人排除にかかわる事が有る場合や、相続問題がこじれて裁判に発展した時などは別途弁護士や司法書士を雇わなければならないので費用の面でも手続きの面でも不利益になります。 相続に伴って発生する税務に関しても別途税理士が手続きをしなければなりません。

何よりも、大きな問題は遺言執行報酬が巨額になる可能性があるということです。 費用に関しては、弁護士などが必ずしも安く付くというものではありませんが、信託銀行では最低でも150万円程度はかかるということを認識しておかなければなりません。 ちなみに、遺言執行者にかかる費用は相続税の控除対象にはなりません。 また、信託銀行の営業姿勢によっては金融商品の販売活動が煩わしい場合もあります。


遺言信託すべき相続とは

遺言信託するためには、認知、後見問題などが手続き済みである事、事業継承問題などが決定定事項になっている事がポイントになります。 遺送や寄付、特定の相続人に多く遺産の配分を多くしたい、事業継承者に遺産を集中させたい、など法定相続以外の相続に関しては大規模な法人である信託銀行が相続人間の不満に左右されずに遺言を執行できます。 遺産の内訳に金融商品が多い場合、とりわけ国外金融商品が多い場合には信託銀行の金融ネットワークが役に立ちます。 それ以外にも、相続人が海外在住の場合にも海外ネットワークが充実している大手の信託銀行が便利です。

遺言というと、高齢者が作るものと考える方が多いと思いますが相続がいつ始まるかは誰にもわかりません。 早い時期から遺言書を作成しておくと大切な人が遺産紛争に巻き込まれるのを防止できます。

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