11月7日、新たなサイバーセキュリティー関連法案が可決されたことを中国政府が発表した。インターネットサービス企業(SNS、メッセージサービスも含む)には全ユーザー情報の保管、身分確認が義務づけられるほか、警視庁および中華人民共和国国家安全部から要請を受けた際、求められる情報を開示する必要が生じる。

「テロ・犯罪対策」という項目で設けられた新法案だが、社会主義体制強化を狙っての動きであることは明白だ。同様の流れはロシアでも見られている。

罰金、サイト凍結、運営許可とり消しなど厳しい罰則適用

中国やロシアがインターネットを社会主義の敵と見なすのは、けっして今に始まった話ではない。反政府的コンテンツの拡散防止を目的としたネット検問は必須。Facebook、Google、Twitter、LINEなど他国の人気サイトはブロックされている。

Yahooが中国側にユーザー情報を含むネットデータを提供することで事業許可を取得していることは、Yahooの共同設立者ジェリー・ヤング氏が2005年に認めている。報道の自由や海外企業への市場の開放を許さない国という姿勢の裏には、秩序を乱す活動を徹底的に排除する中国の信念がうかがわれる、

2017年6月1日から執行を予定している新法案成立により、こうした姿勢がさらに強化されることになる。違反した企業には7300ドルから7万3000ドル(約18万円から179万円)の罰金に加え、サイトが一時的あるいは永久的に凍結される。また運営許可もはく奪されるという厳しい罰則が課される。個人の違反行為には罰金1500ドルから1万5000ドル(約4万円から37万円)が適用されるという。

すでにネット関連サービスの契約やユーザー登録には実名を使用している消費者が多いため、大騒ぎするほどの実質影響はでないだろう。しかし中国政府が規制の強化を実施した事実は、社会主義国がインターネットの脅威に改めて宣戦布告をしたことにほかならない。

将来的な中国進出を検討している海外企業は勿論、すでに進出を果たしている海外企業にとっては最大の頭痛の種となりそうだ。新たな規制基準では「戦略上重要なセクター」は全データの保管し、定期的に政府機関の査察を受ける必要がある。

しかしセクターの範囲が非常に広く設定されているため、インターネットサービス産業だけではなく、オンラインで商品やサービスを販売しているあらゆる企業に適用される可能性もある。そうなればネットバンキングや決済を提供している金融企業などにも、情報開示が強制されることになる。また情報開示にソースコード(プログラミング言語で記述されたテキスト)も含まれるのではないかとの懸念もあがっている。

いずれにせよ中国政府がこれを機に、可能なかぎりの情報を管理下に置こうと目論んでいることには変わりない。(ZUU online 編集部)

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