Brexit投票に引き続き、米大統領選でも大外れした世論調査について、様々な意見が交わされている。最も信ぴょう性が高い要因としては、「メディアの報道に世論が一時的な反応をみせる」というものだ。

また「回答者の層に偏りがある」「本音を隠す回答者も多い」「データ分析者の個人的見解が加算される」など、憶測例を数えあげるとキリがない。「データ分析者ですら世論調査の結果を信頼していない」という衝撃的な告白まで飛びだしているから驚きだ。

「フィードバック・ループ」がトランプ大統領を生んだ?

一般公開されている世論調査の多くがメディアによって実施されたものであり、報道を盛りあげるというメディアの使命を考慮すると、多少の、あるいはかなりの「操作」が行われていても不思議ではない。

メディアの世論調査の対象となった時点で、世間での認識度が大幅にアップする。認識度が高まれば、それが支持率・非支持率に反映する。「フィードバック・ループ」と呼ばれる現象だ。

立候補前は2%しかなかったドナルド・トランプ大統領の支持率が、メディアが世論調査を実施し始めた直後、11%まで急激な伸びを見せたのはそのためだといわれている。特に選挙の初期段階では「支持する対象」を物色中の国民が多い。アイデアを模索中にヒントを投げかけられれば、受けとるか拒絶するかのどちらかだろう。

また世論をまとめたデータ分析者の「一般常識的見解」を指摘する声もある。「英国のEU離脱は自殺行為」「ドナルド政権など想像もつかない」といった一般論が、実際の数字が公表される妨げになっているというのだ。

回答者が極端に偏ってしまうリスクもある。米国では1991年に「電話加入者保護法(TCPA)」が導入されているため、許可なしの電話インタビューなどは違反行為にあたる。そうなると回答者の許可を事前にとるか、あるいはオンラインやアンケート用紙の郵送などで回答者を募るしか手段がない。しかしこうした調査の回答率はわずか9%程度(2012年データ)と非常に低い。

つまり広範囲な層からの回答は期待しにくい状況だ。PwC研究所の調査からも、電話インタビューに応じる消費者の年齢層がミレニアル世代に集中していることが判明している。なまじ回答を得られたとしても、本音が聞きだせているとの保証はどこにもない。

これらの主要な要因を考慮にいれ、米データ・ジャーナリスト、モナ・チャラビ氏は「世論調査はアテにならない」と警告。世論調査の非正確性についてこれまで数々の警告を発してきたチャラビ氏だが、「結局人間は世論を数字化するのが好きなのだ」と結論づけている。(ZUU online 編集部)

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