米著名投資家、ウォーレン・バフェット氏が、「ドナルド・トランプ氏勝利後も、米経済は堅調に成長していく」との考えを明らかにした。
トランプ政権の誕生によって世界経済の不透明性に拍車がかかると懸念する投資家が多い中、バフェット氏は「両候補、どちらが勝利していたにしろ、株式相場が上昇することに変わりはない」と、米経済を楽観視しているようだ。
バフェット氏「ビジネスの才覚はよい大統領になる必須条件ではない」
11月12日、米CNNのTVインタビューに応じたバフェット氏は、トランプ次期大統領誕生後も株を買いいれ続けていたことを認めた。一時的な市場の反発はある程度予期していたという。
熱烈なクリントン氏支持派と思われていたバフェット氏だが、「選択が2つしかなかったから、クリントン氏を選んだ」と、クリントン氏が前国務長官であったという事実に基づいて、ごく常識的な判断をくだした点を明確にした。米国民がトランプ氏を新たなリーダーとして選んだ今、「トランプ氏は全国民の尊敬に値する」と前向きにとらえている。
最大の不安定要素と見られているトランプ氏の通商政策については、懐疑心をあらわにしているものの、「ビジネスの才覚は必ずしもよい大統領になる必須条件ではない」と、紳士服の経営では倒産に追いこまれたハリー・トゥルーマン第33代米大統領の例を挙げた。
中国やメキシコに対する輸入関税の導入は、「景気後退の原因となるほどではない」とし、貿易効果があくまで拡散的であることを主張。また移民の閉めだしや北米自由貿易協定(NAFTA)離脱など、選挙運動中に主張していた数々の過激な政策も、「選挙後に公約が実施されないことは珍しくない」と冷静だ。
トランプ氏が予想外の勝利をおさめた背景には所得格差の広がりが潜んでいる事実を、バフェット氏も認識している。「現在の経済社会における勝者は自分のような富裕層だ」と自認している一方で、「最低賃金の引きあげだけでは問題の解決にならない」と指摘している。
最低賃金引きあげの圧力が増している米国だが、本当の意味で米経済を向上させるには、最低賃金ではなく勤労所得税額控除額を増やし、労働者階層の所得向上に力をいれるべきとの見解だ。
「我々はガチョウが金の卵を毎年産み落とすような市場に恵まれている」と、経済を加速させる絶好のチャンスである点を強調し、「問題はなにが原因でガチョウが卵を産まなくなるかだ」と、市場に適切な調節が必要であることを改めて主張した。(ZUU online 編集部)
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