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(写真=PIXTA)

11月11日(双11)は、独身の日というよりセールの日へと変貌を遂げて来た。この日に向けて、さまざまな事前記事が新聞をにぎわしていた。その量は11月8日の米大統領選の事前報道を遥かに凌駕していた。秋の国民的行事として定着しつつある。しかしその内実はどうなのだろうか。メディアと都市伝説の両方から分析してみよう。

売上は記録更新

通常双11として取り上げられるのは、8年前にこのセールを仕掛けたアリババ集団のT-Mall(天猫)の売上だ。日本で伝えられた1207億元(前年比132.3%)も同サイトのみの売上だ。実は天猫の売上はネット通販全体の68.2,%である。他にネット通販2位の京東が22,7%(前年比159%)を占め、2社で90%以上になる。その他小さなサイトまで集計すると全売上は1770,4億元(前年比144%)に及び、荷物の数は10億7000万個に達していた。

経済ネット・中財網は、今年の特徴として次の5つを挙げている。

1 国際化 全世界235の国と地域からアクセスがあり、国を跨ぐ取引増加。
2 娯楽化 アリババの開催した「双11晩会」には一線級スターが集結し、イベントを盛り上げた。
3 移動化 移動端末の注文に占める割合は、天猫で昨年の69%から今年は82%に上昇。
4 金融化 支付宝(アリペイ)など第三のプラットフォームによる支払い増加。
5 融合化 1〜4を含め、形態は融合化し、プラットフォームのレベルアップ。

日本企業など外国企業の動向

天猫の全23商品分類のそれぞれ売上トップ3が掲載されていた。まず日本企業を探してみる。

服飾靴鞄  1位 ユニクロ ファーストリテイリング <9983>
男  装  3位 ユニクロ
マタニティ 1位 花王 <4452>
おむつ   1位 花王 2位ムーニー ユニチャーム <8113>

ユニクロと花王の活躍は目立つものの、日系はこの3社だけだった。

その他知名度の高い外国企業では

運動戸外  1位 ナイキ/2位 ニューバランス/3位 アディダス
美容  1位 SK-㈼/2位 エスティーローダー/3位 ランコム
子供服靴  1位 ニューバランス/2位 ナイキ/3位 スケッチャーズ
運動靴  1位 ナイキ/2位 ニューバランス/3位 アディダス
カー用品  1位 ビュイック/2位 シトロエン
携帯電話  1位 Apple
生活服務  2位 ケンタッキー

などがランクインし、商品分類の約半分で外国企業が上位を占めている。その他注目されるのは、スマホの売り上げだ。

1位 Apple、2位、OPPO、3位 VIVOとなっていて、昨年ランクインしていた、小米(シャオミ)華為(ファーウエイ)はトップ3から姿を消した。まったく目の離せない業界である。

都市伝説と今後の見通し

以下は、双11の都市伝説を拾ってみよう。

中国人は荷物の受け取りに会社を指定することが多い。週明け14日(月)には、工場の受付やオフィスでは、双11で買った荷物で溢れかえった。

しかし日系企業の日本人幹部にとって、衝撃を受けたのは昨年だった。今年は経験済みのため、驚きは少なく、去年より多いのか少ないのか、判断はつかないという。200人規模の某日系工場では、あまりの多さのため警備員から「専用倉庫を作りましょう」という提案まであったそうである。

また多くの人は、あまりにイージーな売り手の価格戦略に気付いている。2〜3カ月前に売価を挙げた上で、当日の割引率をアピールする。逆に9割引きとアピールしていたが売価は通常と変わらなかった、などである。粗悪品も多く、返品率を高めている。宅配業者は、今週返品貨物の扱いで、もう一稼ぎする。この返品率は都市伝説では30%という説もある。

百貨店など実店舗でもこの日に合わせたセールを行ったが、こちらの方はあまり盛り上がらず、改めてオーバーストア状況を証明することになった。

また今年のもう1つの特徴は、老舗の中国メーカーで、有力ブランドを持つ企業が双11に力を入、売り上げを伸ばした。今後の双11は、内外一流ブランドの日用品が安く買える日、という点にスポットが当たり、粗悪品は締め出される方向だろう。

まがい物で悪評の高い1位の天猫は、手堅いとされる2位の京東に追い詰められる可能性も十分ある。このあたりが来年の見どころとなりそうである。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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