独市場調査会社、GFKが実施した調査から、米国でも深刻化している有給休暇未消化問題の背景には、職場における上下間の見解の差や、コミュニケーションの欠落が大きく影響していることが判明した。
米国における2015年の未消化有給日数は6億5800日。有給制度が整っていない米国でもワーク・ライフ・バランスの重要性は認識されているものの、職場環境の理想と現実はかけ離れているようだ。
9割の上層部が有給休暇を勧めているが、取得しやすさを感じている非管理職は4割
この調査は今年1月から2月にかけて、米国で週35時間以上働いている18歳以上の成人5641人を対象に実施された。そのうち312人はエクゼクティブ職、1184人は管理職だ。
上層部と一般職の温度差が最も顕著に表れているのは、休暇に対するアプローチへの見解だろう。上層部の93%が「有給休暇の消化は従業員にとって重要である」ため、91%が「従業員に休暇をとるように勧めている」にも関わらず、非管理職の59%は「昨年休暇を消化しきれなかった」、43%が「上司から休暇をとるように勧められるのは年1回以下」と回答している。
また上層部の55%が「有給休暇をとりやすい」と感じているのとは対照的に、同じように感じている非管理職は39%しかいない。ここで興味深いのは、有給休暇をとりやすいと感じている上層部の方が、実際の有給未消化率が67%とさらに高い点だ。
休暇後に待ち構えている溜まった仕事の山に関しても、プレッシャーは上層部が最も高く(55%)、管理職(47%)、非管理職(33%)と弱まっていく。その理由として37%が「責任のある立場につくほど、ほかの者に仕事を任せておけない」と感じる。こうした責任感は最高幹部で最高潮(52%)に達している。
有給休暇が生産性を向上させるという点については、84%の管理職が「休暇取得後、部下の生産性があがる」、72%が「休暇取得を勧めることで、必要な時に部下が残業に快く応じてくれる」と実感している。
しかし前述したように、現実的には特に非管理職で休暇取得への罪悪感やプレッシャーが強く見られる。こうしたギャップを埋めるためにも、「企業リーダーはより積極的に有給休暇の取得促進を心がけ、環境整備を行っていくべきだ」とGFKは提案している。
今年第1四半期には米労働省から3四半期連続の生産性低下が報告され、3年ぶりにマイナスを記録した。(ZUU online 編集部)
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