Brexitの影響を懸念するEUで、圏外からの金融機関に対する「同等性協定(Equivalency Agreement)」を見直す動きがでていることが、EU内部の事情に詳しい関係者の話から明らかになった。

協定内容になんらかの修正・変更が加えられた場合、EU離脱後のロンドンの金融機関は勿論、現在欧州証券市場監督局(ESMA)の承認を取得している非EU加盟国にも、予期せぬマイナス効果を与えることになる。

「Brexit問題はあくまで英国とEU間で処理すべき」

EU側は米国やノルウェーなどの非EU加盟国との同等性協定が、英国のEU離脱決定以前に導入されたものであるため、Brexitという大きな環境の変化に応じて、臨機応変に修正を行うことが必須であると考えているようだ。

英国のEU離脱交渉準備にあたり、EU側の交渉担当者に任命された仏政治家、ミシェル・バルニエ氏が同等性協定の提案者であったことも、見直しへの動きが高まった要因のひとつだろう。バルニエ氏は自国の外相や欧州委員を務め、EUの時勢については経験豊富な人物だ。

同等性協定の対象は、投資、決済、トレードサービスといった一部の金融業務で、融資、支払い、プライベート・ウェルス・マネージメントなどは除外される。また内部関係者の話を報道した英ファイナンシャル・タイムズ紙によると、見直しはすでに実施中だというが、「すべての都市・地域に適用されるわけではない」という。

しかし一部の企業からは、「Brexit問題はあくまで英国とEU間で処理すべきであり、他国を巻きこむべきではない」との批判があがっており、「ESMAからすでにEU圏内での事業承認を得ているうえに、いったいなにが必要なのだ」と反発をあらわにしている。

一方、スコットランドのダンディー大学で金融規制に関するシニア・リサーチャーを務めるリチャード・レイド氏は、Brexit以前からEUの規制環境に変化の兆しが現れていたと指摘。規制強化への動きは、訪れるべきして訪れたといったところだろうか。

EU側はすでに単一市場へのアクセスなどの特権が、Brexit後は完全取引協定を結んだ国にのみ適用される点を明確にしている。いずれにせよ今回の非EU加盟国企業への規制強化が、他国への見せしめ効果をあげることは間違いなさそうだ。(ZUU online 編集部)

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