現在、先進主要国の量的緩和相場が続いていますが、一部にはその神通力も通用しなくなっているとの見方も出てきています。今回は世界の株価 に影響を与える米国株の調整リスクについて考えてみたいと思います。
連日最高値の米国株の要因とは
最 近の米国株は連日のように史上最高値を更新し続けていますが、好調な経済指標や企業業績、割安感(PERの低さ)などがその理由として挙げられています。 一方で現在の米国の株価上昇は2008年のリーマンショック後からのFRBの量的緩和政策(QE政策)の賜物とも言われています。実際リーマンショック前に約1兆ドルだったFRBのバランスシート最近約4.5兆ドルになっており、量的緩和開始から約6年で3.3兆ドルも拡大しています。このFRBのバランスシートの拡大とともに株価が上昇してきたという見方です。
QEは過去3回実施され、現在は3段階目が進行中です(QE3)。注目すべき点は過去2回のQEの終了後(2010年3月と2011年6月)にNYの株価が10%以上の調整をしているところです。 そのことの反省か、QE3の終了にあたってFRBはかなりの神経を使っており、もともとQE3終了の目安の一つであった失業率6.5%の目処なども途中で撤回しています。
FRBに見る米国株調整の動き
ピークで毎月850億ドルの資産買い入れを行っていたFRBですが、5月では450億ドルまで減額してきています。マーケットではFRBのバランスシートの拡大が10月に終わるとの観測がありますが、実際には4,5月ぐらいから拡大ペースが鈍化してきている週もあり、これはおそらく現在FRBの保有している資産の償還等があるからと思われます。7月からの毎月の資産購入額を、更に100億ドル(約1兆円)減額し350億ドルにすることを6月のFOMCでも決定しており、10月を待たずにFRBのバランスシートの縮小が始まることも考えられ、上述の見方から言えば、それだけで米国株の調整が想定できます。