早期利上げの可能性

しかし、現在のマーケットは、好調な経済指標や企業業績を根拠に米国株の更なる上昇を想定する見方も多いのも事実です。 このことに関しては、先日モルガン・スタンレーが米経済の相対的な力強さを理由に米国債を売るべきだとの指摘をしているという報道がでており、米経済の成長加速から早期利上げの開始の可能性も指摘されています。 例えばセントルイス連銀のブラード総裁が、従来の自身の利上げ時期見通しを、2015年第一四半期終盤としていたものを前倒しする可能性を述べています。これだと年末か年明け直ぐということになってしまいます。

つまり、ここからの株価上昇を米国経済の好調で説明する前に、早期利上げ観測が出やすくなっているということで、先般のイエレン議長の失言(QE終了後の半年程度での利上げもあり得るという発言)で利上げ時期が2015年の5月ぐらいとの見方にマーケットが動揺したことは記憶に新しいところですが、こういった発言はそれより手前のタイミングということになります。(大方の予想は15年の後半以降)

FOMCでの投票権はなくタカ派でもあるので言いたい放題のところはあるものの、モルガン・スタンレーの見方と重なる部分もあり、それだけに6月のFOMC(17・18日)でのイエレン議長の記者会見は注目されていましたが、1−3月の寒波の影響のマイナス成長もあり、利上げ時期に関してはマーケットに対して言質をとられない無難な会見にはなったものの、米国10年金利などは5月末を底に徐々に利回り水準が切り上がってきています。


米国株が日本株に与える影響

これまでに述べてきたような早期利上げ観測からの米国株の調整があれば、日本株も調整せざる終えないかも知れません。米国金利が上昇→ドル高円安で日本株が上がるという考え方もありますが、現在日本株は株高と円安、株安と円高がリンクしている感じで、もしマーケットが米金利上昇を株価が調整する材料で捉えたときには、金利上昇での円安のバイアスと先物などからの売りでの日本株の調整にリンクする円高との綱引きになるので一概には言えないと思います。 また、リーマンショック以降3回目となるFRBの資産規模拡大の減速が起きたときの米国株価の動向には特に注意が必要です。

最後に日本株に関しては、もし米国株の調整があった場合に一緒に調整したとしても、現在報道されているような、 消費税の影響も軽微で今後のインフレ期待、NISA/GPIF資金の流入、日銀の追加緩和期待などから、ある程度の水準で下げ止まって反転していく強さはあるのではと思います。

【参考文献】
「モルガンSが最大限のアンダーウエート勧める」
米FRB当局者発言「利上げ時期予想、前倒しの可能性」

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