学資保険,返戻率

各保険会社から「学資保険」が多数提供されている。どの商品が良いか大いに迷うところであるが、学資保険はいずれの場合も解約手数料が高く設定されていることが多く、途中で他の商品に目移りがしないよう、しっかりと最初から最適な商品を選ぶ必要がある。

学資保険を選ぶ基準はいくつかあるが、今回は「返戻率」に着目して選ぶ方法を紹介したい。同じ学資保険でも申込み方によって返戻率を変えることができること、また、返戻率をシミュレーションする方法や返戻率を高める方法についても見ていこう。

返戻率とは?

支払う保険料の総額に対して、受け取れるお金が何%かを計算したのが返戻率である。例えば、1ヶ月に1万5000円を18年間支払うと324万円になるが、祝い金や満了金として総額360万円を受け取れるタイプの学資保険なら、360万円 ÷ 324万円 = 111.1%の返戻率となる。一般に、現状の学資保険全体では、返戻率が110%を超える商品は返戻率が高い方とされる。

貯蓄か保険、どちらを重視するかで返戻率は変わる

もちろん、支払った保険金に対して多くのお金を受け取ることができる(=返戻率が高い)なら、良い学資保険と言えるだろう。だが、単純に返戻率だけで判断してしまうのも早計だ。

例えば、朝日生命の学資保険「えくぼ」は、返戻率だけを見てしまうとそう高くはなく、あまりお得とは言えそうにない。だが、「えくぼ」は、通常の小中高大の進学タイミングだけでなく、幼稚園に入園する時や小学校高学年になるとき、大学卒業時などさまざまなタイミングで祝い金が支給されるという魅力がある。

また、保険支払者に万が一のことがあったとき、通常の学資保険なら支払いが永久に免除され、祝い金や満了金などの保険金はしっかり受け取ることができるようになっている。だが、現実に保険支払者に万が一のことがあったとき、進学時などの特定のタイミングだけの祝い金ではサポートが充分とは言えないだろう。

「えくぼ」は、保険支払者に万が一のことがあったときは、満期まで毎年育英年金(年齢に合わせて1年に30~100万円)を受け取ることができるシステムをとっている。この手厚さなら、子どもの学資にも大きなサポートとなる保険だと言うことができるのではないだろうか。

もちろん、「えくぼ」以外の商品において、貯蓄性を重視すれば返戻率は高くなるし、保証内容を重視すれば返戻率は低くなる。同じ商品であっても、特約などをたくさんプラスして保証内容を充実させれば返戻率は低くなるし、オプションをつけないでシンプルなプランを選択すれば返戻率を高くすることができる。つまり、返戻率は、保証内容を重視するか貯蓄性を重視するかによって変えることができるのだ。

返戻率シミュレーション

学資保険の返戻率を計算する方法は簡単だ。保険料は商品によっても異なるが、一般的には固定された料金を満期まで支払い続けるタイプが多い。月々の支払額は保険支払者の年齢と被保険者である子どもの年齢、満期までの年数によって決まってくる。

次に、保険料の総額を計算しよう。まず、1ヶ月の保険料を12倍して1年間の保険料を算出する。その額に満期までの年数を掛ければ、保険料の総額が自ずと求められる。1ヶ月の保険料が1万2500円なら1年間の保険料は15万円。18年満期の商品なら15万円 × 18 = 270万円が保険料の総額になる。

その次は、いくらの保険金を受け取れるかを計算する。

小中高大に入学する度に50万円の祝い金と満期のときに100万円の満了金を受け取れる商品なら、保険金総額は50万円 × 4 + 100万円 = 300万円。270万円の支払いに対して300万円を受け取ることになるのであるから、返戻率は300万円 ÷ 270万円 = 111.1%と求めることができるのだ。

返戻率を高める方法

預金と同じく、保険会社に資金を預ける期間が長くなればなるほど利息、つまり受け取れる保険金総額は大きくなる。つまり、返戻率を高くすることができるのだ。18年満期型と22年満期型が選べる商品なら、保証内容や祝い金の額が同じなら22年満期型の方が返戻率は高く、定期的に祝い金が出るタイプと祝い金が出ないタイプかを選べる商品なら、祝い金が出ないタイプの方が多くの資金を長期間保険会社に預けることになるので返戻率も高くなると言える。

オプションや特約に関しても同じことが言える。オプションや特約を付加すると保証内容が充実し、その保証内容を支給するために預けた保険料が使用されることになる。つまり、オプションや特約は極力つけないようにすれば、返戻率を高めることができるのだ。

もちろん、学資保険を判断する基準は返戻率だけではないが、資金の有効活用を重視するならば、返戻率に注目して学資保険の商品を選ぶのも良い方法と言える。貯蓄目的で学資保険を活用したい方は、ぜひ各商品の返戻率を計算し、最適な1つを選んでほしい。