移民政策、NATO支持、TPP推進──政策面での齟齬

外交政策については、ペンス氏とトランプ氏とでかなり異なる点がある。トランプ氏は共和党の大統領候補を選ぶ予備選挙で、共和党正統派によるかつての外交政策を猛烈に非難してきた。とくにイラク戦争についてトランプ氏は「たいへんな間違い」と断じているが、ペンス氏はブッシュ大統領の対イラク戦略のほぼすべてに賛成、強力に後押した過去がある。

移民政策についても双方のスタンスは異なる。「メキシコとの国境に壁を造る」というトランプ氏の発言を、ペンス氏は「侮辱的で違憲だ」と非難。またペンス氏はロシアの拡張主義を警戒して北大西洋条約機構(NATO)の強化を訴えていたが、トランプ氏はNATOに批判的でプーチン氏を称賛、対ロ関係改善を進める立場だ。さらには、ペンス氏は自由貿易協定支持で環太平洋パートナーシップ(TPP)に賛成だが、トランプ氏は反対、撤退を主張している。

とは言うものの、次期大統領に決定してからのトランプ氏は過激な発言を控え、看板として掲げていた公約にも軌道修正を加えている。実務家として現実主義者の顔を見せ始めたトランプ氏ゆえに、ペンス氏との政策の齟齬も解消されていくものと予想される。

幅広い人脈、豊富な政治経験と高い調整能力への期待

そもそもトランプ氏がペンス氏を副大統領に起用した狙いは、大きく二つあると言われる。一つは党内統一、もう一つがペンス氏の行政経験および議会との調整能力の活用である。

過激な発言を繰り返し、既存の支配層やワシントンの上下両院議員を激しく批判してきたトランプ氏を、好ましく思っていない共和党議員も多い。ペンス氏には下院議員を6期にわたって務めた実務家としての実績があり、共和党支持の保守勢力「ティーパーティー」との親密なパイプもある。党とトランプ氏との橋渡し役として機能し、次期大統領が強い関心を示さない分野の政策については、大きな存在感を発揮する可能性もある。

次期大統領の最初の重要な仕事は、2017年1月20日の宣誓式までに、閣僚や省庁の上級スタッフなど6000人とも言われる政治任用ポストの人選をすることである。しかし政治経験のないトランプ氏には、ワシントンの政界や学界、共和党内の人脈が乏しい。ペンス氏を政権移行チームの責任者に据えたのは、その幅広い人脈に期待してのことと思われる。

まずは政権移行、その後は党内保守派や議会との調整役として期待されているマイク・ペンス氏。次期大統領の政治能力は未知数ゆえにペンスの働きに注目が集まる。(ZUU online 編集部)

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