FP(ファイナンシャルプランナー)の仕事をしていると、「なぜこの資格を目指したのですか」と聞かれることが多い。筆者は今から数年前に大きな病気になり手術したときに、病院や当時の勤め先から「高額療養費」や「保険の請求方法」について詳しいレクチャーを受けるまで何も医療費補助のことを知らなかった。病気が早く治るのか、生活は大丈夫なのかという点のほかに、知っていれば何も不安にならないことを知らなかったばかりに、とても不安になった。今回は、そんな自身の反省も振り返りながら、「医療費補助」について解説していく。

1. 民間保険の請求方法

もし病気やケガになった時のために、「医療保険」に加入している人は多いだろう。ただ、実際に病気になってからの請求方法まで確認している人は少なくなる。

保険は前提として「後払い」だ。病院の診療代を肩代わりしてくれるものではなく、まず自分で実費分を支払って(現役の健康保険加入者は3割)、医療機関によっては医療費を後納してくれる場合もあるが、概ね治療と同時並行で「支出」が進んでいくという認識になる。

保険金の請求方法は、主に以下の順序で進んでいく(保険会社によって順番の異なる場合あり)

(1) 保険会社の所定の用紙を請求し、入院や手術の内容や程度を伝える
(2) 書いた書類を医師に提出し、診断書を書いて貰う(入院などの事実のみで書いて貰える場合もあり)
(3) 完成した所定の用紙と医師の診断書を保険会社に送付する
(4) 保険会社が審査を行い、結果を本人に通知する
(5) 保険金が給付される

上記の期間すべてでどれくらいかかるかは、保険会社によっても異なるが、保険会社の審査を起点として即日~5営業日のなかが多いようだ。病気のときは支出面も逼迫することが多く、最近は「支払期間がとても短くなった」という声を聞くことも多い。保険会社も迅速な保険金支払いのために様々な努力をしている点が伺える。