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日本経済の脱デフレが実現すると、株式など金融資産価格は上昇しやすくなります。単純な「分散投資」でも自らの金融資産が伸びていくことが予想されますが、それだけではテールイベントに対応できません。暴落に強いマルチ・ストラテジーを考えていきます。


単純な「分散投資」の課題

2014年6月6日、日本経済研究センターの「ESPフォーキャスト」2014年6月調査が公表されました。「ESPフォーキャスト」は、日本を代表する約40名のエコノミストが日本経済の予測をおこないます。6月調査で興味深い内容は、2025年度までの予測で、日本経済はデフレから脱却すると予測されていることです。実質成長はリーマンショック不況にあえいだ2006~2010年度の年平均0.3%から2011-2015年度で1.1%に回復し、2016年度からの10年間も1%台前半の成長率が持続すると予測されています。

また、消費者物価指数(CPI)については、2000年台の10年間、下がり続けましたが、2011~2015年度で年平均0.6%のプラスに転換、その後の5年間は1.4%、1.5%と着実にデフレから脱却していく予測となっています。日本経済がデフレ脱却していくと、資産価格は上昇していきます。したがって、株式についても、長期的には、株価は下がるよりも上がりやすいと考えられます。これは、これまでのデフレ経済で株価が下がり続けたのとは真逆の世界です。

これらより、今後は、日本株式市場においても、単純な「分散投資」であっても、プラスのパフォーマンスが維持できると期待されます。しかしながら、単純な「分散投資」では、リーマンショックや東日本大震災など、めったに起こらないが影響度が極めて大きいテールイベント、いわゆる、「ブラックスワン」が起きたときの暴落に対して、何も対処できず、資産価格が下がっていくのをただ眺めている状況になってしまいという課題があります。


暴落に強いマルチ・ストラテジー

上記、「ESPフォーキャスト」の予測が現実になると、日本経済は脱デフレが実現し、インフレ経済へと変わっていくことになります。そうなると、日本株も株価が下がるよりは上がりやすくなります。そのため、常に、一定比率の株式や株価指数連動の上場投信(ETF)、投資信託などを保有していることは、株価上昇についていくために重要です。株式のポジションを保有していないとマーケットの動きに劣後してしまうからです。株式などをバイ・アンド・ホールドする戦略は、今後の長期的な資産運用においてワークすると考えられます。

他方、テールイベント、ブラックスワンに対して、どう対処していくのかということを考える必要があります。日経平均や東証株価指数(TOPIX)が下がり続ける中、自らの金融資産の減少を抑える、あるいは、暴落時において、逆に資産を増やすことを考えていくべきです。単純な「分散投資」だけではない、暴落に強いマルチ・ストラテジーが必須となります。以下、3つの暴落に強いマルチ・ストラテジーをご紹介します。