マルチ・ストラテジー1:株式+米国債

マルチ・ストラテジー1は、株式と米国債の組み合わせによる投資手法です。株式は個別株でも日経平均や東証株価指数(TOPIX)連動のETFでも日本株インデックスや日本株投資信託でも構いません。株式と米国債の比率も、7:3でも8:2でも構いませんが、一定比率の米国債をポジションとして持ちます。米国債を一定比率保有することにより、テールイベント発生時、米国が金利を下げてきますので、米国債の価格が上昇し、株式の下落を相殺するという期待があります。米国債の金利は現在未だ10年債が2%台後半ですが、テーパリングが終了し、利上げとなれば、いずれ3%を超えてくるものと思われます。10年以上の長期の米国債の金利も上昇してくることでしょう。確実に金利が得られる米国債を一定比率保有することにより、より確実性の高いリターンが得られるものと期待されます。

為替は中期的には貿易や資本フローで決まり、長期的にはインフレの差で決まります。米国はこれから金利を上げていきますが、日本は金融緩和を続けていきます。このため、円高になることの可能性は低く、米国債を保有し、為替による含み損を抱えるリスクは少ないものと考えられます。


マルチ・ストラテジー2:株式+ショート

マルチ・ストラテジー2は、株式とショートを組み合わせた投資手法です。テールイベント発生による株式市場の暴落を利用して、利益を上げる戦略となります。最近、ショートポジションと同等かそれ以上の効果を、ETFを使って簡単に組成することが可能になりました。2014年5月29日に東証に上場したETF「TOPIXベア2倍上場投信」< 1356 > を、日本株式市場が暴落する際に購入にすると、高いリターンが得られることが期待されます。


マルチ・ストラテジー3:株式+オプション

最後に、マルチ・ストラテジー3は、株式とオプションを組み合わせた投資手法です。オプションは、「株式を買う権利(コール・オプション)」の買い、または、売りと、「株式を売る権利(プット・オプション)」の買い、または、売りがあります。平常時においては、プット・オプションの売りでは、原資産の幅広い価格帯で利益が得られますが、株式の暴落時には損失が大きくなりますので、注意が必要です。暴落時には、保有株式の下落リスクをヘッジするコール・オプションの売り(カバード・コール)が有効になります。


まとめ

以上、テールイベント、ブラックスワンに対応するマルチ・ストラテジーを3つご紹介しました。とはいえ、脱デフレ経済においては、株価は上がりやすいです。株式の構成比を大きく取り、「分散投資」がメインシナリオでよいと考えられます。

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