Uber,Airbnb,シェアリングエコノミー,共有型経済
(写真=Thinkstock/Getty Images)

UberやAirbnbといった企業、サービスに代表されるようにシェアリング・エコノミー(共有経済)が人気だ。しかしその共有空間で何らかの問題が発生した時、責任分担はどうなるのだろう。責任も「共有」になるのだろうか。

「共有」ゆえの曖昧さ

シェアリング・エコノミーは、「物やサービスを共有することで利益を創出し、経済に貢献する」という概念から生まれたもの。しかしシェアリング・ビジネス自体はけっして真新しい発想ではない。図書館などは現代社会に残っている最も古い例のひとつだろう。時代の流れとともにレコードやビデオレンタルがCD、DVDレンタルに代わり、レンタル衣装、レンタカー、機器レンタルなど、数えきれないほどの共有型ビジネスが世界中で利用されていた。

インターネットとスマートフォンの普及により、P2P融資、クラウド・ファンディングなどが一躍注目を浴び、Uber、Airbnb、TaskRabbt、eBayなどがC2C(消費者から消費者へのサービス)人気に火をつけた。

「空き時間を利用して、無理のない範囲で労力を提供してお金を稼ぐ」「空き部屋を利用したい人に提供してお金を稼ぐ」「不要なものを必要な人に提供する」――本来は資産を生みだすはずがないゼロの空間から、自然に利益が生まれる。確かに素晴らしく効率的な利益創出法である。

そうした観点では、これらの共有経済企業が達成した功績は評価に値する。当然ながらいずれの企業も、サステナビリティ(持続可能性)や相互利益、そして社会的責任をスローガンに掲げている。

しかし近年、その責任範囲に対する懸念が持ち上がっている。企業側が社会的責任範囲をどのように設定しているか、あるいはどこまで遵守しているか。「共有」ゆえの曖昧さが、消費者の安心感や信頼感を揺るがしている。

Uber車内で睡眠薬を飲まされて暴行されたケース

シェアリング・ビジネスの代表的存在であるUberのケースを見てみよう。2011年のアプリサービス開始以来、Uberは数々の「共有エコノミーの責任」をとって、何百ドル(何億円)という賠償金や弁護士費用を支払っている。

最近のケースでは今年6月、フランスのUber幹部2人が、ライセンスを取得していない運転手を雇用していた罪で身柄を拘束され、会社側にはずさんな雇用管理体制の責任をとるかたちで80万ユーロ(約9691万円)の罰金が課せられた。

同月、米Uberを相手にハリウッド西部の女性(27歳)も告訴を起こしている。被害者届によると、2014年、Uberのサービスを利用して夜遊び先から彼氏の家へ移動しようとした被害者は、車内で睡眠薬入りの水を運転手に飲まされ暴行されたという。被害者側は「100%安全な配車サービスをうたい文句にしているUberが、運転手の素行調査を怠った」とし、運転手の雇用主であるUberを訴えた。2013年には、UBERの運転手がサンフランシスコで人身事故を起こし、6歳の少女が死亡している。

従業員が引き起こした不祥事そのものも問題だが、それ以前にUberがシェアリング・ネットワークを構成することで利益を創出している企業として、どこまで責任範囲を意識していたかが重要だ。事故や問題を未然に防ぐための予防策は万全だったのか。「共有=責任が軽減される」という発想は、あまりにも無責任である。

消費者が安心して利用できる共有環境を

Uberのケースでは法の手で「責任」の範囲が明確にされているが、組織内では「責任」の範囲が曖昧であることは一目瞭然だ。Uberの運転手による数々の事件は以前から問題になっていたにも関わらず、会社は今も身元調査はおろか、まともな面接すらなしに運転手を採用し続けているとの非難が絶えない。

もちろん身元調査や面接を実施し、雇用基準を強化したところで、完全に犯罪や事故を防げるわけではない。また従業員による不祥事は決して共有経済企業に限った話ではない。

しかしだからといって、企業活動が社会におよぼす影響を把握せず、最低限の責任範囲すら明確にされていない状態では、消費者が安心して利用できる共有環境とはいえない。本当の意味での共有経済への貢献とは程遠い。

また共有経済企業の多くが、規制・許可・税金などで優遇措置を受けている事実と、従来型の企業を凌ぐ勢いで急成長を遂げている事実を秤にかけると、納得し難い矛盾点が見えてくる。

公平な規制や課税システムの構築が今後の重要課題?

矛盾点は従業員の不祥事という枠にとどまらず、既存事業者への競争力の範囲にもおよぶ。UberやAirbnbの勢力は、ホテルやタクシー、レンタカーなど既存事業者の存続を確実に脅かしており、各国の業界団体から規制を求める声があがっている。

従来の企業が厳しい規制や課税の圧迫と戦っている中、Uberの時価総額は6兆円を超えている。時価総額で責任の重さを量れるものではないが、社会的影響力の大きさを測るうえでの指針にはなるだろう。ここではUberを例に挙げたが、数々の調査結果から多くの消費者がシェアリングに興味を示す反面、安全面での懸念を抱いている。

ネットワークやサービスを提供する企業側の意識改革が、共有経済を今以上に発展させるうえでの重要課題であることは間違いない。改革を促す手段として、共有経済の価値観を活かすと同時に、新たな事業分野としてとらえ、事業規模や業務内容を考慮に入れた公平な規制や課税システムの構築が必須となるのではないだろうか。(アレン・琴子、英国在住のフリーライター)

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