結婚をするには、お金がかかる。これは、紛れもない事実である。しかし、実は結婚をするだけではお金はかからない。婚姻届を役所に提出をすれば、結婚はできてしまうからだ。
そうはいっても、それでは味気ない。ふたりの人生の門出を多くの人に祝福してもらいたいというのは、男女問わず描いている理想だろう。正確には、その理想を叶えるためにお金がかかるのである。今回は、そんな理想を叶えるためにかかる費用、いわゆる結婚資金を貯蓄していくための秘訣を紹介する。
結婚にかかる費用を見積もる
婚約から新婚旅行までの費用の全国平均は、469万7000円である(ゼクシィ調べ)。これには、結納、顔合わせ、婚約指輪、結婚指輪、挙式・披露宴費用、新婚旅行費用、新婚旅行お土産代などが含まれている。中でも、挙式・披露宴費用の平均は359万7000円(招待人数71.6人)と、費用全体のおよそ77%を占めることになる。またこのほかにも、遠方から来る列席者へのお車代や、披露宴を手伝ってくれた友人や知人に渡すお礼なども、きちんと予算の中にいれておくべきだ。
これらの費用は、全国平均の金額であり、会場や時期、列席者の人数によって大きく変動するものであるが、目安として参考にすると計画を立てやすい。
最近では、「ジミ婚」という言葉もあるように、費用をかけないで結婚をするというのも一つの選択肢になる。自身の希望だけではなく、相手と話し合い、どのような結婚式をするのかを具体的に決めておくと、費用に対するイメージが掴みやすくなるだろう。
結婚資金の貯金目標を立てる
ゼクシィのデータによれば、結婚式のための貯蓄平均額はふたりでおよそ300万円だ。これは、前述した挙式・披露宴費用の総額平均には届いていない。実際には貯蓄に加え、親からの援助やご祝儀が加わることになる。
ただし、親からの援助を必ずしも受けることができるとは限らない。それによって、挙式を断念してしまうということがないよう予め確認してほしい。
ご祝儀は、列席者の人数や年齢層によりある程度予測をすることはできるものの、当日にならなければ正確な金額はわからない。ご祝儀に頼るよりも、自己資金で全て賄うつもりでいるほうが無難である。いただいたご祝儀は「おまけ」として、新婚旅行や新生活に利用するのが望ましい。
また、平均貯蓄額の300万円はあくまでも目安として、余裕を持った貯蓄目標を立てることが必要といえるだろう。結婚式で貯金を全て使い果たしては、その後の生活にも支障が出てくる。結婚式をしてもなお、貯蓄に余裕のある状態を保つためにも、ふたりで協力し、目標を立てて欲しい。
具体的な計画を立てる
結婚することを決めたなら、今までの生活を見直していく必要がある。その見直しにより余剰資金、つまり貯蓄に回すことのできる割合を増やせないか検討する。
どのような結婚式にしたいのかを具体的にイメージすることも大事だ。軸をしっかり立て、それを実現するための妥協ラインも具体的に考えて欲しい。軸が決まったら、一度式場を下見しに行き、見積もりを出してもらおう。まだまだ時期が先という場合でも、相場を把握するためにも足を運んで欲しい。それが、貯蓄額の目安にもなるからだ。
その見積もりを見ながら、ふたりが優先したい点、妥協できる点、自前で賄えるものがないか、などを検討する。ただし、自前で賄えるものがあったとしても、結婚式場では「持ち込み料」を取られることもあるので、詳細は確認する必要があるだろう。
ここまですれば、自ずと目標となる貯蓄金額が明確になる。それを逆算し、いつからいくらずつ貯めれば、その金額になるのかを試算する。あとは、定期預金など確実に貯めることができる手段を利用し、準備を進める。
結婚資金の貯金をする上での注意点
結婚式を挙げる時期は、当人たちの希望が最優先とはいっても、親族の都合や会場の空き状況により、なかなか思いどおりにいかない場合もある。
定期預金を活用し貯蓄をしてきても、思いもよらず時期が早まってしまい、途中で解約をすることになってしまうこともあるだろう。定期預金は、基本的に満期時に利息を含めた金額を受け取ることができるが、途中解約をした場合には、金利優遇のメリットが受けられないこともあるので、注意したい。
また、貯蓄目標額も高めに設定をすることをお勧めする。結婚式の打ち合わせをする中で、魅力的なサービスや商品を目にすれば、どうしてもそれを選択したくなるのが人間の心理だ。平均金額よりも少し余裕を持った貯蓄を行えば、そうした場合にも心の余裕が生まれるだろう。
全ては結婚式を楽しむために
結婚式は、始まりの儀式にすぎない。結婚式をすませた後の新生活では、色々と出費がかさむものだ。結婚式の費用を貯めることができない人は、その後の生活でも地道に貯蓄をすることができない可能性がある。これまで、貯金が苦手だった人も、ぜひこの機会に夫婦で「貯蓄体質」を作っておくことが必要だろう。結婚式は、自身が主役の時はもちろん、ゲストとして招待されても幸せを共有できる場である。その時間を心から楽しむためにも、余裕のある貯蓄を目指してほしい。