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(写真=PIXTA)

「幸せ」の定義は、人により大きく異なることは言うまでもない。ところが、「老後」に限って言えば、その幸せを手にするためには「お金」は欠かせない。少し寂しい気もするが、それが現実なのである。老後に貧困に陥る世帯は、想像しているよりもずっと多いのだ。それでも「幸せ」と感じている人もいるだろうが、お金は老後の生活につきまとう不安要素の一つであることは間違いないだろう。では、老後の生活をより豊かに、幸せに送るためにはどれくらいの資金が必要なのだろうか。

老後に必要な資金の目安

世帯主が60歳以上の無職世帯の家計を見ると、2人以上の世帯では毎月約7万円、単身の世帯では毎月約4万円の赤字があるという調査結果がある(公益財団法人生命保険文化センター調べ)。可処分所得は約18万円に対し、出費支出は約24万8000円である。一方、単身世帯の場合、可処分所得は約10万3000円に対し、消費支出は約14万4000円である。つまり、平均で見ると単身世帯、2人以上の世帯ともに赤字なのだ。

その赤字分は、貯蓄から補てんをするほかはないだろう。60歳から80歳まで生活をした場合、単身世帯では1年で48万円、20年間で960万円、2人以上の世帯では1年で84万円、20年間で1680万円の貯蓄が必要という試算ができる。しかし、この数字には十分な余裕があるとは言えない。より豊かに暮らすためには、さらに多くの貯蓄をしておく必要がある。

老後の支出入の見当のつけ方

老後の収入については、自営業や定年のない仕事についている人は、その収入が主になる。しかし、多くの人は年金収入が中心となるだろう。

年金収入の金額は、ある程度までは計算をすることができる。国民年金か厚生年金かにより計算式は異なるが、まずは自身がどの年金に、どれくらいの期間加入しているのかを確認してほしい。それぞれの計算式については割愛するが、それを基にライフプランを設計していく必要があるだろう。

支出についても、個人によりその内容、割合は大きく異なるだろう。基本的な生活費用は、現役時代と同水準、もしくは減少することが考えられるが、増加していくのは医療費である。先に述べた公益財団法人生命保険文化センターのデータによれば、2人以上の世帯での保健医療費は平均で1万5027円である。高齢になればなるほど、病気や怪我のリスクは増加する。持病を持っている場合などには、さらに費用が増えることになるだろう。

老後のセカンドライフに必要な資金をシミュレーション

実際に、老後に理想の生活を送るためには一体いくらかかるのか、簡単にシミュレーションしてみる。地方でのんびりと田舎暮らしを楽しみながら、月に1度は国内旅行に、年に1度は海外旅行に行きたいと考えている夫婦で考えてみよう。

まず、先に述べたデータ(公益財団法人生命保険文化センター)から、2人以上の世帯に最低限必要な月の生活費は約24万8000円とする。田舎暮らしをした場合には、都心よりも物価が安いことが考えられるため、10%を差し引いてみると22万3200円となる。収入が約18万円であるから、赤字は約4万3200円と計算できる。貯蓄から賄う費用は、1年間で51万8400円となる。

次に、毎月の夫婦の旅行代を7万円(月)、年に1度の海外旅行を仮に40万円とすると、1年で124万円である。

赤字補てん分の51万8400円に旅行代金124万を足すと、175万8400円となる。それを20年続けるには、3516万8000円が必要という計算だ。もちろんこれは田舎暮らしでの物価分を差し引いた試算であるから、おいしいものを毎日食べたい、買い物もしたいなど、少しでも質の高い生活を望むなら、その分も貯金で賄わなくてはいけなくなる。

老後用貯金額の平均

金融広報中央委員会の2016年「家計の金融行動に関する調査」によると、単身世帯の金融資産保有額の平均は822万円だ。2人世帯以上の場合は、平均1078万である。平均であるため、それより多く貯金をしている人もいれば、全くしていないという人もいるだろう。こちらは支出額の場合と異なり、1人あたりの金額で見ると単身世帯のほうが、金額が多いことになる。

前項のセカンドライフのシミュレーションでは約3517万円の貯蓄が必要という計算になった。少し極端な例を挙げたが、老後には何かと予期せぬ出費が考えられる。そこまでは求めていないにしても、備えとしてできる限りの資産を築いておくことが必要だろう。

貯金に「早すぎる」はない

老後の生活というのは、想像しているよりもずっと大変だ。一生懸命働けばお金が入ってくる現役時代とは勝手が違う。今まで当たり前にできていたことが、できなくなっていくかもしれない。老後に貯蓄を始めるのでは「遅すぎる」。逆に、貯蓄を始めるのに「早すぎる」ということはないのだ。

先のことは、なかなか具体的にイメージできないという人も多いだろう。しかし、理想はあるはずだ。その理想を実現するためにはどうしたらいいのか、逆算して考えれば自ずと道が見えてくるのではないだろうか。(ZUU online 編集部)